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『チベット占星術序説』を読んで

2005-12-28

『チベット占星術序説』(黒門著・東洋書院刊)という本を読んだ。サブタイトルとして「本邦初公開」と記されているが、確かに、このような形の「占星術」は、日本で始めて公開される内容だろうと思う。私は昔『密伝ラマ占星要門』というタイトルからして難しそうな和訳書を読んだことがあるが、それ以来のチベット占星術の本だった。そして、こちらの本の方が、はるかに理解しやすい。
そして、古典的な占いを研究する上で、大変参考になった。実占書というより、研究書として大いに価値がある。特に、私が大変興味深かったのは、チベット占星術における暦法、推命方法、そして何よりも九星の配布と判断方法である。私はインドや中国の古典占星術に関しては相当研究したが、チベットに関しては先の和訳書でギブアップしたので、それ以来全く関わって来なかった。それだけに、非常に興味深く読ませていただいた。
私の勘では、この著者も、チベット占星術は、まだ研究途上であって、おそらく実占的に試みているわけではないだろう。ただ、インド占星術が知られるようになった今日、こういう本は貴重である。惜しむらくは、チベットにおける中国系占星術に偏っていて、インド系占星術の記述が少なすぎる点にある。もし、中国系占星術に的を絞るなら、例えばチベット系の推命方式や、九星判断を、より具体的に、より実占的に、記述して欲しかった。そうすれば、研究書としてだけでなく、実占書としても貴重な書物になったことだろう。
それにしても、この書物は、我々が抱いてきた陰陽五行理論・十干十二支・九星・八卦等について、根底から覆す理論と方式が存在していることを教えようとしている。
本書によると、チベットの暦日では、六十干支は単なる循環ではない。例えば日干支は、通常、甲子日―乙丑日―丙寅日―丁卯日―戊辰…のように進んでいくのだが、チベット暦日では、甲子日―丁丑日―戊寅日―辛卯日―壬辰日…のように進んでいく。しかし、よくよく考えると、後者の方が十干の五行循環という点では合理的である。
九星の暦法配置も全く異なり、それ以前に五行が異なる。九星の二黒・三碧が「水」、一白・六白・八白が「金」、七赤、九赤が「火」だと云われても、これまで日本の九星に親しんできた方は、にわかに納得しがたいに違いない。
私が、この本をここであえて取り上げたのは、1人でも多くの占術家や、占いを好む人達が、占いというものを、もう一度見直す時期に来ているのではないか、と思うからである。あまりにも単純に、伝統的な一つの見方・捉え方だけで、それが占いの全てでもあるかのように、決めつけ過ぎていないだろうか。もっと、さまざまな占いの根本的な見方・捉え方が、存在していることに気付いて欲しいのだ。
そして、そういう新しい研究のキッカケを与える可能性があるという点で、この本を高く評価したいのだ。

Posted by 0075 18:00:52 │Comments(0)TrackBack(0)

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