北京五輪の前の話ですから旧聞になりますが、中国では理解に苦しむ中国料理の英語表記を改めようとの動きがあったそうです。
それまで中国料理の英文表記はレストランごとにばらばらで、中にはとんでもないものもあったんですね。
たとえば、「性生活のない鶏」。
どんな料理かわかりますか。
生後2カ月ほどの若鶏を焼いたり、揚げたりしたもので、中国語では「童子鶏」(幼い鶏の意)と呼ばれているものです。
まあ、確かに性生活はないでしょうが、翻訳した人は何を考えていたのかなあ。
新しい英文表記は「スプリング・チキン」。
また、豚の肺などの内臓を辛く炒めた四川料理「夫婦肺片」には「ハズバンド&ワイフズ・ラング・スライス」(夫と妻の肺のスライス)という恐ろしい名前が付いていました。
これは「ポーク・ラングス・イン・チリソース」(チリソースを使った豚の肺の料理)に改められました。
ただし、中国政府は清の乾隆帝が名付けたとされる「乞丐鶏」(こじきの鶏の意、泥を塗りこんで焼いた鶏料理)のように、料理名に長い歴史があるものは、英語に直訳することにしています。
ですから、「乞丐鶏」はそのまま「ベガーズ・チキン」ですね
また、「仏跳墻)(お坊さんが寺の塀を乗り越えてやってくるほど美味しいという意)のように翻訳が難しいものは、そのまま中国語の発音通りに表記することにしたそうです。
そう云えば、パリのレストランには日本人向けのメニューが置いてあるところもありますが、結構間違いがありました。
たとえば、牛の心臓の肉のステーキ(coeur de boeuf)などという名称だとホルモン系みたいに感じるでしょう。
しかし、本当は肉の芯部、つまり一番上等のところのことです。
それから、子牛の睾丸の煮込み(rognon de vau)なんてショッキングな名前の料理(強精効果はありそうですが)は実際には腎臓の煮込みのことです。
ややこしいことに辞書にはたしかそう書いてあるんですね。
だから、いちいちレストランに確かめるしかありません。
私自身もなんどかメニューの翻訳をしました。
ある時、豚の膀胱を使った料理と書いてあったので、どう考えてもおかしいと思い、シェフに問い合わせたところ本当に膀胱を使う料理だとの返事でした(丁寧に洗った膀胱に材料とブイヨンを詰めて密封し、煮込む料理で、最近はプラスチック製の袋で代用することも多いそうです)。
なんでも高級料理だそうです。
だから難しいんですね。
ついでに書いておくと、子牛の腎臓も日本人は慣れていないと思いますが、結構美味しいもので私は好きですね。
では。
料理の翻訳は難しい
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