親友の条件:メロスの場合(4)

20160620113005-9ce1cdb8acf6f870f36cb8a1f20d01c192991f8d.jpgことほど左様に、短い話なのに本当に嫌になるくらい「走れメロス」は穴だらけで、私が編集者だったら絶対にボツにしてたでしょう。

しかし、今でも高く評価されているようです。

最近、テレビでよくやっている安っぽい感動話と同じようなものなのかな。

こんな下らない嘘っぱちの感動話で騙くらかそうとしている。

ところで、「走れメロス」はドイツの古典主義作家、フリードリヒ・フォン・シラーのバラード形式の詩『人質』をもとにしています。

また、太宰と友人だった壇とのエピソードもヒントになったとされています。

簡単に説明すると、太宰が熱海のある旅館に入り浸ったままいつまでも戻らないので、奥さんが友人の檀一雄に迎えに行くように頼みます。

しかし、太宰はたっぷりお金を持ってきた檀を大歓迎し、引き止めて連日芸者をあげるなどして、ふたたびすっからかんに。

そして、宿代や遊興費がふたたび溜まってきたため、太宰は檀を人質に残して、東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行くんですね。

檀も最初は大人しく待っているんですが、いつまでたってもいっこうに音沙汰がないことから、しびれを切らし、井伏のもとに駆けつけます。

すると二人はのん気に将棋を指していました。

激怒しかけた檀に、太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね」 と言ったそうです。

出た、どちらがつらいか、どちらが痛いかの無理やりの屁理屈。

生徒を殴っておいて、殴られた頬よりも殴った拳の方が痛いんだなんて無茶苦茶を言う教師(またはコーチ)がいますよね。

そんなもの殴られた方が痛いに決まっているでしょう。

まあ、それはいいとして、この壇との経験が小説に影響を与えたことは間違いないと思います。

では。