続きです。
品格のある人間の例として、ある医師の話を紹介します。
この医師は、最初は1年間の予定で人口8000人の北海道の僻地の村に赴任します。
勿論医者は彼一人でした。
当時、この村は結核がはびこっていて、半分以上が健康保険にも入っていないという劣悪な状況だったんですね。
そして、彼は村人を見捨てることができず、そのまま42年間にわたって住みつづけました。
札幌に戻れば安楽な生活が待っているのに、この村に残ることを決めた時、彼は妻と子供達に詫びます。
普通の人だったら博愛行為だと言い立てるでしょう。
しかし、彼はそれを押し付けることなく、他人にとっては、自分の家族にとってさえも、自分のわがままでしかないと考えて、詫びたんですね。
私はこの医師は本当に品格がある人だと思います。
繰り返しになりますが、税金を使って家族を優遇し、まったく恥じない都知事や、自らを顧みることなく道徳教育が必要だなどと国会で言い立てる議員、嬉しそうに富を見せびらかし、社会に還元しない金持ち・・・
彼らに品格を語る資格などありません。
勿論、上に書いた医師は単なる一例に過ぎません。世の中には目立たなくても、尊敬すべき人が沢山います。
そして、本当の高貴な精神、品格はマスコミの注目を浴びることはなくとも、こうした人々にこそあるのです。
彼らは別に人に範を垂れようとして行動しているわけではないでしょう。誇ることなく、人に押し付けることなく、ただ、それが自然なことであると信じて、普通に生きているはずです。
自らの自然な行動によって、他人を感動させ、見習いたいと思わせる。
これこそが真の「noblesse oblige」の精神ではないでしょうか。
言うまでもありませんが、私はこうした人たちからは程遠い人間です。
では。
品格のある人間(6)
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