続きです。
私が昔、生で聞いた文学討論会でも(フランス人と日本人の作家が参加していました)、同時通訳がもの凄く苦労していましたが、果ては、言ってないことを通訳者が勝手に口走ったために、発言者が怒ったことがありました。
討論会はめちゃくちゃ。
話が完全に食い違い、結局、通訳者が謝りました。
一応、一流とされている人だったんですが。
まあ、人のことは言えませんね。
私も同時通訳をしていて、上手く行く時は話者と一体くらいになるんですが、駄目な時はまったく駄目。
それに調子が良い状態も長く続かないなんてこともあります(物凄く疲れるんです)。
ところで同時通訳が一番難しいと思われているようですが、実は逐次通訳といって、話者の話をノートにメモしてから、順次訳すほうが正確だし、難しいんです。
たとえば、国家元首クラスの会談の場合には同時通訳はしません。
完璧を期することができませんから。
よくテレビなんかで、日本の首相と外国の首脳が椅子に座って話しをしている時に、それぞれの斜め後ろに座って何かノートに書いている人がいるでしょう。
あれは会談の記録を取っているのではなくて、通訳がメモを取っているんですね。
それから、通訳は必ず話者の母国語から相手の国の言葉に訳します
普通の人は反対に思うでしょうね。
完全に誤解した短編小説を読んだこともあります。
相手の発言を聞いた通訳がそれを首相なり大統領なりに訳して聞かせるのではないんですね。
つまり、日米会談で言えば、日本の首相の通訳は首相の日本語での発言を英語にするわけです。
そして、アメリカ大統領の通訳は英語を日本語にする。
そうしないと誤訳が生じた時に責任の問題がややこしくなるからです。
当然、すべて記録されていて、後で訳に間違いがないかがチェックされます。
もう少し続きます。
では。
続きです。
通訳と翻訳についての誤解の話 (4)
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