子供時代の自制心

20170318084024-e6da0880502752cb261efcc9b57bbffc60bca565.jpgマシュマロ実験というテストがあるのですが、ご存じでしょうか。

子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査したものです。

手順を簡単に説明すると、子どもの被験者を、気が散るようなものが何もない机と椅子だけの部屋に通して、椅子に座らせます。

机の上には皿があり、マシュマロが一個。

実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢したら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ます。

その後の子どもたちの行動を隠しカメラで記録するのですが、1人だけ部屋に残された子どもたちは、自分のお下げを引っ張ったり、机を蹴ったりして目の前の誘惑に抵抗します。

小さな縫いぐるみのようにマシュマロをなでたり、匂いをかぐ者も。

また、目をふさいだり、椅子を後ろ向きにしてマシュマロを見ないようにしたり。

分析では、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまう率が高く、我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らそうとする傾向があることがわかりました。

すぐにマシュマロを食べた子供は少なかったのですが、最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは1/3ほどでした。

そして、追跡調査では、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続し、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価される、さらに両グループ間では、大学進学適性試験(SAT)の点数には、トータル・スコアで平均210ポイントの相違が認められるという結果が出ました。

つまり、幼児期におけるIQの高さより自制心の強さのほうが将来の成績にはるかに大きく影響するということです。

そして、この傾向が生涯のずっと後まで継続する。

怖いでしょう。

我慢できない子供は、将来成功する確率が低いわけですから。

良く大声を上げ、手足をバタバタさせて親を困らせている子供がいますが、多分将来ろくな大人にならないだろうとの誰でも思うような感想はある意味では裏付けられたようです。

一応、断わっておくと、どうすれば自制心を養うことができるかについての実験はありません。

では。