ある高齢の女装家(元祖のような人です)が「誰でも人生はプラスマイナスゼロ」だと言っていました。
そして、皇帝になるという栄光を究めた後で、セントヘレナ島に流され獄死したナポレオンを例に挙げていました※。
※どうでもいい薀蓄をひとつ。ナポレオンの死因は砒素による毒殺と言われています(アンバリッドに残されていた髪の毛を分析した結果に基づく意見)。当時の為政者も民衆に人気の高い彼を死刑にする勇気がなかったのでしょう。
ううむ、まったくお気楽な意見と言うしかないですね。
似たようなことを口にする人が結構いることは事実ですが。
多分、成功している人間には戒めに、そして現在不遇をかこつ人には励ましになると思っての言葉なのでしょう。
しかし、現実はまったくそうではないことはちょっと考えればわかります。
いわゆる発展途上国のストリートチルドレンや、親代々の借金を生まれた時から背負い、死ぬまでその返済のために働き続けなければならない幼い少年等々。
世界を見れば、生まれてから死ぬまで悲惨な人生を送る人は今でも多い、と云うか、そんな人のほうが多いんです。
プラスマイナスゼロなんてとんでもない。
それを知らないかのような発言は、浮世離れしていると言われても仕方がないでしょう。
勿論、世界に悲惨な人々がいることを常に意識して生きることはできません。
しかし、自分たちの生きている幸せと不幸がすべてであると思うのも傲慢ではないでしょうか。
では。
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