ちょっと前にやっていたあるテレビ番組で夏目漱石の英語教師時代のエピソードを紹介していました。
ある時、漱石は生徒達に「I love you」という英語を訳してみろと言ったんですね。
生徒の一人が「あなたを愛しています」と訳しました。
すると、漱石は、「日本人が『愛しています』だなんて言うものか。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。 それで日本人は分かるものだ」 と言ったとのことです(番組では表現がちょっと変わっていました)。
出演していたゲストは、あまり感心しなかったようで、ある女性はこんなんじゃわからないと言っていました。
また、司会者は英語の授業だったら間違いだろうとコメントしていました。
なんと言うか、わかってないですね。
「I love you」の意味ぐらい、誰でもわかります。
そんなことをわざわざ聞くはずがないでしょう。
翻訳というのはその先のことを考えることなんです。
いかに自然な日本語にするかです。
もちろん、言葉はいきものですから、文脈によって、訳し方は変わっていきますから、なんの状況もなしで「I love you」を訳すというのは乱暴なんですが。
それから「月が綺麗ですね」を愛の言葉だと思えない女性は想像力が不足しているじゃないでしょうか。
ただ、確かに最近は外国語(特に英語)の文化、習慣などが日本に入ってくるに従って、日本語の表現も変わってきています。
いわゆる翻訳調の言い回しも頻繁に耳にするようになっていますから、直接的な言い方のほうが好まれるのかも知れません。
しかし、「好きだ」とか「愛している」とか、ダイレクトな表現しかわからないとすると寂しいですね。
では。