この日のために準備した部屋からは、
SUNTORYのビルに光る青い文字が見えた。
私自身、想像していた部屋よりも大きな部屋は、
どうやら、2人のクリスマスプレゼントになったらしい。
部屋に入るなり、まるで子供の様に嬉しそうにクリスマスツリーを飾り始める。
ツリーの隣に座るのは、安達さんとサンタさん。
その様を、殆ど、私は横で見ていた。
・・・それは家族みたいだったから。
嬉しくて、終わるまで、殆ど手を出さずに見ていた。
昔、銀朱様が働いていた隣のホテルで、ちょっとお茶を飲んで、散歩をして。
赤坂のサロンの近くまで歩いて。
サロンの目と鼻の先のベトナム料理屋さんで、生春巻きに感動して。
部屋でケーキを少しだけ食べる。
3人ともほろ酔いになったところで、40Fにあるバーに向かった。
振り返ると見える夜景。
・・・・昔、よく見たなと思いつつ、視線を前に戻す。
戻した視線の先が、モノクロに変わる。
幻視だろうか。
相当、私も酔っていたんだろうか。
今ではない。ここではない。
でも、同じ様な、場所で。
「彼」は何人かの女性といた。
多分、横が女神様。
・・・モノクロの世界で見た、少し若い彼は、
今よりずっと尖っていて。
今よりずっと壊れそうだった。
彼女らに囲まれて、幸せそうだったけど。
それはまるで、ガラス細工のような気がした。
泡沫の様に儚い、過去。
それは雪の結晶の様に、
キレイだけど、あっという間に溶けてしまう。
「朱華」
呼びかけられて、今に帰る。
彩が、戻る。
少し、年を取った彼。
今の、彼の目を見つめて、少し安心した。
2人が寝静まった後、布団を整える。
覗き込んだ時の顔は、2人とも幸せそうだった。
注意深く2人を起こさないように息を殺しながら、
ドアを閉める。
中空に踊る月を見るために、私はもう1つの部屋に入った。
右手に持ったミネラルウォーターはもう温いけど、
わずかに小さな泡をあげている。
泡と、夜景と、窓に映る自分を見つつ。
もらったばかりの銀色のネックレスを光にかざした。
calm lightと言うシリーズらしい。銀のネックレス。
女性的な装身具をもらったのは初めてだったから、
・・・嬉しかった。
祈りを捧げる。
聖なる夜に。
どうか、私の愛しい人が幸せでありますようにと。
どうか、二度と壊れてしまわぬようにと。
永遠なんて、この地上にないけれど。
彼が天寿を全うするまで、
彼の居場所を護れますようにと。