仕事の飲み会帰り。皆と別れた直後。
「付き合え」
そういって、銀朱様にJRに引っ張り込まれる。
一緒に電車に乗るなんて、あまりない。
これで2回目か。・・・珍しい。
たしかにこの距離なら、タクシーより電車の方が速い。
場所は秋葉原。
数年前と様変わりしたこの街には、夜遅くまでやっている店がかなりある。
新宿の様な、嫌な感覚はまだ薄い。
2時間くらい、話をしたのか。
前日に聞いていた言葉、その後ろの本心。
その想いに視線を伏せるしかなかった。
多分、その時に言われた言葉の半分も、まだ、私は理解できていない。
そのくらい、深い言葉。
1つだけ、確かにいえることは。
私を生んでくれた人と同じくらいに、愛してくれていたという事実。
全部。
彼は気づいていた。
下手な隠し事。
自分勝手な気持ち。
普通の家庭への憧れ。
抱えた弱さ。
私が選んだ色が告げていた全部。
私の迷いと惑いを、銀朱様は全部気づいていた。
「俺、わかるよ。万人のことなんてわからないけど、お前のことならわかるよ」
それは、私から目を離さなかった証拠なのだろう。
・・・・。
あまりにも、自分が浅はかだったことを、知る。
直情と感情と自分本位は。
気づかぬ内に私から、大事なものを見る目を奪っていたということだろう。
否定したい事実。
でも、目の前にあるそれからは逃げたくない。
まだ、自分のことが客観的に見られない。
でも、霞がかっていたことが、クリアになっていく。
どこへも行くなと言わないのは。
行くなら行けと言った言葉の裏側は。
「いつか、俺から巣立っていくってのも・・ありだと思ってるよ」
・・・その願いの上の言葉。
その裏側。もっと奥。言わない言葉の奥。
そこに、あるのは・・・。
色々なことに気づいてしまった今。
まだまだ、読み解けない今。
そんなことが・・・できるはずがないだろうに。
私は、普通ではなく。私は、貴方を選ぶ。
選択の自由なんて、とっくに手放したはずの私が選びなおすことは、
・・・明らかにまずいことなのだろう。
けれど。
これ以上、ごまかす方が罪だ。
今の私に必要なのは言葉より。
精一杯を積み重ねること。
100の言葉よりも1の行動。