「何故、弱い人とは一緒にいられない?」
聞きたかった。それを。
自分の、本音を。
彼女は、目を逸らし、私に答えた・・・・。
「弱い人は私を、護ってくれないでしょう?
私より弱いなら、それはいらない。
強い人に愛されなきゃ、幸せになれない」
逸らした瞳は閉じられて。
初めて、シリアスな横顔が見えた。
予測していた答え。
その答えを聞いた後、イメージの中で目を閉じる。
「このサブパーソナリティが生まれた瞬間は、・・いつ・・だ?」
そう問い掛けて、3つ数えて、指を鳴らす。
・・・呼吸を整えて、イメージの中で目を開けると。
そこには、小さな頃の私がいた。
お母さんと養父の話を聞いている私。
昔住んでいた家。真夜中。
息を殺して、聞いていた。
養父が母に対して、言葉の暴力を振るっていた様子。
母は明らかに養父に対して、冷めていた。
・・・まだ、私が幼いのに。
こんな幼い頃から、母は養父に対して冷めていたのか。
となれば、冷めてから15年は、一緒に暮らしていた計算になる。
離婚しなかったのは、家族を想ってだったのだなと確信した。
その位、母の目は凍てついていたから。
彼女一人なら、いくらでも生きていけただろう。
我慢したのは、私のため。
呼吸を整えて、再び意識を恋愛のサブパーソナリティの部屋に戻す。
私がイメージの中で目を開けると、先ほどの少女は泣いていた。
「お母さんは、「女の子は愛されていた方が幸せ」だといったけど。
ちっとも幸せそうじゃなかったわ。
それはきっと、優秀な人に愛されてなかったからよ。
強い人に愛されたら、幸せになれる。今がそうじゃない。今、幸せでしょ」
それが私の本音の一部。
そう、これが見たかった。鼓動が、あがる。
私は、人の闇が好きだ。
自分の闇も、他人の闇も。
綺麗事よりも、ずっと、好きだ。
・・・生々しいそれを見て、それと向き合っている時間。
最も人生の中で、生きていると感じる。
・・確かに母はたくさんの人に愛された。
男女問わず。
それが、養父にとっては許せなかったことであり、
その存在を手にしたことは、自分の存在意味を実感できることだったんだろう。
だから、養父は母の外出を厳しく管理した。
他の男性に見せびらかすように、一緒に出かけることもあった。
自分が優れている、自分は人生の勝利者だ。
そう、母を見せびらかすことによって証明したいかのように。
でも、母が自分に対して愛情を向けていないことが分かったから、
彼は彼なりの苦しかったんだろう。
そして、その関係を見て、小さな私は想ったのだろう。
私は、決めたのだろう。強い人と歩こうと。
・・・自分の存在が、お母さんの重荷になってしまっていたのを、
あの時代の私は、知っていたのだ。
「私は強くなるの。強い人と一緒にいるために。賢くなるの。愛されて、幸せになるの」
「・・・もう、いいよ」
張り上げた声に対して。
目を閉じながら、私は声をかけた。
・・・そんなもんじゃないだろうに、本当に、欲しいのは。