1人の時間が増えた。
それは寂しいとかじゃなくて、幸せな時間だと想った。
元々いた、実家の方が何倍も広くて。
結婚していた時の方が、やっぱり広くて、綺麗で、新しい部屋だったけど。
・・・不思議と私より年上のこの部屋は、落ち着く。
昼下がり、穏やかにお茶を飲みながら勉強をして、ふと気づく。
ここ4年。
仕事ばかりしてきたこと。
そして、今。
意外にも安らいでいること。
家は、私にとって。
仕事場で。
寝る場所でしかなかった。
4年。
それより前、結婚していた頃は。
仕事に追われた時期が半分。
引きこもってしまった時期が半分。
お世辞にも、生活を楽しんでいるわけではなかった。
そこから抜け出してすぐは、何の余裕もなくて。
ただ、ひたすらに走ってきた。
余裕が少し出てきても、趣味なんてなくて。
ただ、ひたすらに仕事や勉強をしてきて。
テレビを半年見ないなんて時期もあった。
そんな私を見続けて、
銀朱様はいろいろ考えてくれたのだろう。
テレビを見なかった私に引っ越し祝いとして、
1人で見るにはおっきなテレビと地デジアンテナをくれた。
「せめて、お前にはマトモな生活をさせてやりたい。
俺も、お前がいる場所で安らぎたい。
・・・俺の小さなエゴだよ」
全部与えてもらうのはイヤだから、
せめてテレビは折半にしようと提案した。
苦笑して、彼はそれを受け入れてくれた。
「確かに、その方が仕事にも熱が入るかもな」
そういいながら。
この部屋は、
彼にとっても帰る場所だけど、
私にとっても家は久しぶりに帰る場所になった。
そういえば、
今まではカフェに行って勉強をしていたけど、
最近は行かなくなった。
すぐ近くにカフェがないのもあるけど、
余りにも家の居心地が良いから。
よく見ると、
前の部屋は余り日当たりが良くなかったから元気がなかったポトスが、
今は青々としている。
そういえば、
動線が確保しやすくなったから、
料理もするようになって、多少はできるようになった。
あと、今回はきちんと自分で風水を見て、
足りないものを補っていることも、
過ごしやすさの要因なんだろう。
住むところって大事なんだなと想った。
身をもって。
「・・・あの家にいた時、幸せじゃなかったわ。
今、前に住んでたところより、
ずっと狭くて、ボロだけど。
・・・あたしは幸せだよ」
今のアパートに移り住んで。
嬉しそうに庭弄りをしているお母さんが言っていた言葉が。
ちょっとだけ、分かった。
豪華だから、新しいから。
安らぐわけじゃないってこと。