憧れる人がいる。
新人として、今のプロジェクトに配属されて。
右も左もわからない時。
私達の作るシステムのユーザーとして、お会いしたのが彼女との最初だ。
正直、最初は張り詰めていた人だったから、苦手だった。
去年の今頃。
真っ青な顔をしながら働いていた私に。
彼女は1通のメールを出してくれた。
身体を気遣うメールだ。
週に1回しか会わないのに、1時間しか会わないのに。
私が腎臓を傷めたのに気づかれたときは、びっくりした。
それを誰にも言わずに、伏せておいてくれたから、今がある。
あの時、プロジェクトから外されていたら。
今の私は絶対にない。
どうして、腎臓が悪いと判ったか。
そう・・彼女も、腎臓が悪かったのだ。
正確に言えば、難病指定されている病気にかかっていた。
それで、腎臓も悪くしたのだ。
張り詰めていたのは、彼女が自分自身と戦っていたから。
だから、周りに怖さを与えていたのかもしれない。
「もう少し前、元気だった頃。
10割の力で、仕事ができていた頃に出会えていたらと思う」
彼女が私宛にくれたメールには、そう書いてあった。
・・・彼女は退社して、ご主人のいる海外へ出立することに決めたらしい。
「若い頃だから、いろいろやるといい。
年をとると、しがらみが多くてやれないことがたくさんある。
それでも、私はこの病気を背負いながら、
自分に何ができるかを、この先の人生で探して生きたい」
彼女は、生まないことを選んだ。
彼女は、自らの身を呪う事をやめた。
与えられた時間と状況の中で、精一杯、生きることに決めたのだろう。
・・・それには、たくさんの葛藤があったに違いない。
彼女のくれるメールの行間には、それがひっそりと感じられたから。
いつか、彼女もきっと。日本に戻ってくるから。
その時には、一人前になっていたいと思う。
あのヒヨコが大きくなって、と。
自分が託した思いは無駄ではなかったのかな、と。
笑ってもらえるように。