「笑い続けなくていい。
・・・笑みを緩めて、真顔になってやるのも、表の仕事では必要だ。
そうでないと、馬鹿は許されぬ行為も、お前が受け入れると勘違いする。
はっきり言わなくていいんだ。ただ、気づかせてやれ。互いのために」
今後の仕事の進め方のミーティング後。
顔色が相当悪かった私を、銀朱様は家まで車で送ってくれた。
多分、私を気遣ってくれるのだろう。
仕事上の色々なことを冗談を交えて話をしてくれる。
私よりずっと疲れているだろうに。
「出たくないんです、飲み会・・・」
プロジェクトの飲み会に出たくないと我侭を言う私。
笑うことに、ちょっと疲れていて。
できれば、実家に帰る前の日まで、そんな思いはしたくなかった。
逃げだとわかっていても。
多分、余り普段から我侭を言わない私が、
どうしてもいきたくないと頑なに想う・・今。
相当ストレスが溜まっていることを、自分でも認識していた。
「出なくてもいいぜ。
でも、出ても出なくても嫌な思いをするなら、出ておけ。
うまいもん、腹いっぱい食って来い。
周りに気を回す必要は今回はあんまりないな。もういいだろ。
っていうかさー、店のチョイス、デートじゃねぇんだから、間違ってるよなー。
KYだよなぁ、KY」
そう、茶化しながら、ぽん、と背中を叩かれる。
その手が、とっても優しかった。
「笑い続けなくていい。
いやなものをイヤってストレートに言っちまうのはどうかと想うが、少しは態度に示してやれ。
お前は我慢しすぎなんだよ。
しかし、人間が一番・・面倒だな、ほんと」
助手席。
少し高い視線を見上げるように見ると、
煙草を吸いながら、銀朱様は笑っていた。
「大丈夫だ。・・・最悪になんて行かせないさ。
想定の中の最悪にたどり着いても、俺は次の手を必ず打つ」
頭をわさわさと撫ぜられる。
ちょっとだけ泣いたら、とても・・とても、すっきりした。
結構、我慢していたんだと気づいた。
私なら平気で鈍いって。
いつも笑っているから、そう想われる自分を変えようと想う。
朱華と同じ包容力をいつも出していたら。
いくら私だって、ストレスは溜まるんだと認識した。
・・・他人なら、うまくいくのに。
自分は私もうまくいかないけど。
だからこそ、大切な人がどんなに支えてくれるか、助けてくれるかはわかる気がする。
ありがとう。