石畳。
抜けるような空。
真っ白で綺麗な噴水。
白いベンチ。
私が左側に座って、猫背になり。
祈るように指を組むと、彼は現れる。
私のハイヤーセルフ。
・・いつでも会ってくれるわけじゃなくて、
必要な時しか会ってくれない、存在。
ストレートの長い銀の髪。
女性にさえ見える華奢な体。
穏やかだけれど、どこか冷静で力強い声。
私のなりたい私に、よく似ている。
私の中の、高みの私。
「お久しぶりです」
ぺこりと私が頭を下げると。
「元気そうで何よりです」
彼は決まって笑う。
いつも笑っているのは、きっと、強いから。
確固たる自信は、実力に裏打ちされたものだから。
少し、まぶしい。
「聞きたいことがあってきました。
・・私、普通の家庭をもてるんでしょうか?」
私が問い掛けても、
彼はストレートに回答はくれない。
「普通の家庭とはどんな家庭でしょう?」
「お父さんと、お母さんがいて。子供がいて」
「平均的な家庭ですね」
「そう・・そんな感じ」
「ところで、貴方は、それを望んでいるのですか?」
「・・・・多分、違うって言いながら、おもいました。
平均が欲しいなら、前の結婚で叶えられていたはずだから。
よく考えてみれば、別に自分の子でなくても良いです。
だって、私はそうやって育ててもらったんだもの。
普通に拘る必要がないし。何より、よく考えたら。
平均や普通なんて、時代や場所によって違う・・
私は私の形でいいと、私は認識しているけど、違います?」
「・・・そういうことです。
全ては似ているけれど、違うんですよ」
いつでも、私が答えを持っていることに気づかせてくれる。
問いを問いで返すことによって、気づかせてくれる存在。
「ありがとう」
「ああ、伝え忘れました」
答えを見つける手伝いをしてもらって。
目を覚まそうとした時に呼ばれた。
珍しく、呼び止められたと言う感じで。
「たくさんの人間の思惑。乱反射の末の因果応報。
それを他人事としてみるのではなく、
しっかり冷静に見据えて見なさい」
そう言われたとき、
ぴんと来たことはあったけれど。
それはまだ、口にしないで置こう。
多分それは、未来に起こることへの「啓示」だから。