先日、古いクライアントさんから、メールがあった。
「結婚式が終わりました。・・・ありがとう。
私は過去を抱えて、生きていきます」
そんなメールだった。
少し前、その方から結婚式の招待状を頂いたのだが、
私が行くのもなんだと想い、丁重にお断りをした。
それでも、お花等だけ手配しておいたので、
そのお礼もあって・・メールは届いたのだった。
そこに願いがあった。
「私のことを、書いてくれませんか。・・私が忘れないように。
私と同じ様な人が、もう、出ないように」
覚えている範囲でよいと言う言葉をもらったから、書かせていただこうか・・。
あれは2年前だ。
私が赤坂に来て、間もない頃。
「申し訳ありません。
カードにも現れていますように、
その方に利用されているようにしか・・・私には感じられません」
その一言は、冷徹な一撃だったのだろう。
彼女は疲れ果てた両目を開けて、信じたくないと言う顔をした。
私のその言葉は、
カードの内容を、どう伝えるか、考えた末だった。
でも、カードの向こう側に、私が垣間見た未来。
それを変えるために、私はあえて真っ直ぐに伝えた。
滅多に、私は強くは言わない。
私が強く主張する時は・・、絶対に行ってはならぬ道だと、
私の未来見の力も、カードも、同時に告げているときだけだ。
「俺を愛しているなら、他の人間に触れられても平気だろう?」
そう言って、相手の男はその女性に「体」で稼がせていた。
通常の風俗じゃない。
非合法の方法で、だ。
私は・・・この職業で、色々な人生を見てきた。
特に「そういう世界」は私の得意とする分野だ。
異性・同性間の恋愛や性的なことに関して、驚くことはない。
ノーマル、アブノーマル、合法、非合法、
道徳に逆らうもの、そうでないもの。また、その境目。
何が綺麗で、何が汚いかなんて決めることはしない。
「クライアントの秘密を護ること」が大事であって、裁定を下すのは私じゃないから。
ただ、未来の一端を示し、
より良き未来の方向を指し示すだけしか、できないが。
「同じように「飼われて」いる女性は他にいらっしゃるようです。
思い当たる節も・・・ありますね?」
私のその言葉に、彼女は頷いてから・・泣いた。
泣きながら、今までのことを話してくれた。
「物でも傍にいられたら良かったのに。
稼ぎが少なくなっていったら、お金を受け取る時くらいしか・・会わなくなった」
・・・ここには書けない位、凄惨なお話だった。
それでもなお、離れられないという彼女に対して、
あえて、言った覚えがある。
「ここでこの恋愛を降りるか。乗り続けて滅びるか。
運命は貴方に、最後の選択を与えるために・・ここに来させたのかもしれない。
あとは、貴方がお選び下さい」
優しいだけの言葉では、ここまできたら届かない。
だから、その言葉をあえて選んだ。
ひとしきり泣いた後。
彼女は選んだ。・・1人で生きていくことを。
その後、新しい職場で今の旦那様と出会い、結婚したのだ。
付き合う人間によって、人は変わるのか。
同じような波長だから、付き合いのか。
それはケースバイケースだが・・・。
少なくとも、彼女は稼がせていた男から離れることによって、
幸せへの一歩を歩みだしたのかもしれない。
「今の人には過去のことは話せていません。
・・・それは抱えて、生きていきます」
それは、彼女が選んだ購い(あがない)なのだろう。
結婚はゴールじゃない。スタートだ。
彼女の購いが終わり。
・・・穏やかな安息が訪れることを祈ろう。
それが、どのような形にせよ・・。彼女が幸せである安息が訪れるように、祈ろう。