「上手く・・話せないんです」
冗談じゃない・・。
話すこと、聞くことが仕事の私が、しゃべれなくてどうするよ・・。
元々、私は喋りが上手い方じゃない。
結構、その辺りは気にして今まで悩んできて、
少しだけ喋れるようになったけど。
プライベートでは、それほど口数が多い方じゃない・・。
「自分の想っていることを、相手に上手く伝えられない」
最近、結構それに悩んでいた。
いや、朱華としては喋れる。
問題は、表の仕事の方。
相手の主張は矛盾している・・と感覚が告げているのに、その矛盾を露にできない。
言葉を選んでいるうちに、話が終わってしまう。
言いたいことが上手く表現できない。
自分の思考スピードが遅いんじゃないかと、
話が下手なんだろうな・・と、途方にくれていた。
ご実家のお父様の様子を見た帰り。
家に帰ってきた銀朱様にそれを打ち明けると、
煙草を吸いながら、彼は笑って私に答えた。
「あー、それって、あるある。
まだ、知識と言う点と点が、線になりかかっている状態なんだな。
点線っていうのか。
だから、上手く言葉が見つからない。そういう時期はあるよ。
繋がる一歩手前だから、安心しろ」
ふっと肩の力が抜ける。
不思議だ。
いっきに力が抜けた。
翌々、考えてみた。
朱華だって、最初から流暢に喋れた訳じゃない。
言い回し、読み方、人との接し方、クライアントのタイプ。
それらをたくさん経験して、失敗して、学習して。
喋れるようになった。
知識と経験と信頼と時間が、朱華をここに連れてきてくれた。
それと同じように、
また、私もSEとして積み重ねている最中なのだ。
SEとして才能ないと、言われ続けてきた。
この職業に向いてないと、言った人もいた。
パニックになったこともあるし、
今だって一杯一杯で、決して順風満帆な1年半ではなかった。
それでもいつだって、私は銀朱様だけじゃなく、いろんな人に。
叱られ、励まされ、
背中を押され、助けられて、ここにきた気がする。
私は・・場所と時間という、お金じゃ買えないチャンスをもらった。
私がもらったチャンスを、
誰かに提供できる位置に行きたい。
頂いたものを、巡り巡らせて返していきたい。
本当に今は、そう想う。
当たり前の顔をした、たくさんの奇跡が。
今の私を作り、成長させてくれているのを・・毎日感じている。