「私は内気なので、人に話しかけるのが苦手なのです」
こういう相談を受けることがあります。
何を隠そう、かつての私はとても内気で、神経質で、大変な口下手でした。
特に中学や高校の時分はそうで、ほとんど対人恐怖症でした。
こう書くと「うそでしょ?」と言われかねませんね。
でも本当なのです。
どのくらい神経質だったかというと、授業中に先生に指されても、発表が出来なかったのです。
人前で発表しようとすると、得てしてシドロモドロになっていたのでした。
だから、私は口下手な人の気持ちもよくわかるのです。
今でこそ、そんなのは平気だし、大勢の前で講演もやっています。
だから、当時の私を知る人にとっては、今の私は別人でしょうね。
私が本当に変わったのは、少しだけ演劇を経験してからでした。
それによって、自分に自信をつけることが出来たと思います。
今でもよく覚えていますが、舞台に立つと、瞬時にドン・キホーテ(1)になっていたものでした。
ひょっとしたら、私は本当はナルシストなのかな、とも思います。
でも時と場合によっては、ドン・キホーテになった方がいいこともあります。
なぜなら、行動すべき時に自信を持って行動できるからです。自分への自信こそは行動力の源です。
そのためには少しぐらいはドン・キホーテになった方がいいと思います。
よく「どうすれば人に話しかけることが出来るのでしょうか」と相談されることもあります。
そんな時には、私はとっておきの秘伝「誰とでも簡単に話が出来る術」なるものを伝授するのですが、自分で言うのもなんですけど、とにかく効果絶大であります。
今回は特別に、その秘伝を解説することにしましょう。
それは「天地姓、住居ニュースに見える趣味、健康家庭に仕事人生」です。
1、「天」は天気。たとえば今日の天気について。「寒くなりましたねえ」など。
2、「地」は地名。「どちらまで帰るのですか?」など
3、「姓」は苗字。「珍しい苗字ですね。なんと読むのですか?」など。
4、「住居」は住んでいる家について。「変わった造りのお家ですね」など。
5、「ニュース」は最新ニュースについて。「どうやら消費税がまた上がるみたいですね」など。
6、「見える」はその場で見えるものについて。「その服はとてもいいですね」「あれって何の建物ですか?」など。
7、「趣味」は文字通り趣味について。「趣味でやってることはあるのですか?」など。
8、「健康」は文字通り健康について。「風邪が流行しているようですけど、大丈夫ですか?」など。
9、「家庭」は家族や兄弟について。「御兄弟はいらっしゃるのですか?」など。
10、「仕事」は職業について。「仕事は何をされているのですか?」など。
11、「人生」は人生や生き方について語ること。「生きるというのは、私はこれこれこういうものだと思いますが、いかがでしょうか?」など。
いわば話のきっかけ作りですが、要はこの順番通りに話をすればいいのです。自信がなければ最初は「天地姓」ぐらいに留めておけばいいでしょう。「仕事人生」まで話が出来るようになればもう安心。誰とでも確実に話が出来ます。
私は今でもけっして話し上手ではないと思っています。
だから話術のなんたるかを心得ているわけではありません。
しいて話術というのであれば、それは、「話とは単にしゃべるものではなく、相手に伝えるもの」という意識ではないでしょうか。
つまり、相手に伝えることを前提にして話せば、話の内容は確実に変わってゆくと思います。
それともう一つ大事なのは論理的な思考です。つまり思考回路を明確にすること。たとえばA=B、B=C、∴A=Cのような表現です。 文章でもそうですが、これがないことには内容が支離滅裂になってしまいます。
また、一見話し上手に見えて、実は言葉が足りないケースもあります。それは、誰でもかゆいところに手が届くと錯覚しているからです。それでは伝わるものも伝わりません。
要は必ずしも能弁でなくてもいいと思います。訥弁でもいいから、確実に伝えてゆくことが大事だと思います。
(1)♪ドンドンドン、ドンキ〜っていうアレじゃありません。セルバンテス作の小説に登場するナルシストの主人公です。念のため。