2008-02-29
乗り捨てられた放置自動車 23
小暮さんの家にたどり着いた。
しかし雨が途中で止んだとはいえ、全員ずぶぬれであった。
しかしそんな不快な感情も忘れたように晴れやかな顔で、バスタオルを引いたソファーに座った。
「これで・・・もう主人の原因不明の頭の病気も?」
近藤さんが静かに下を見たまま聞いてきた。
きっと一番聞いてみたかった答えだったのだと思う。
ただ一軒のみ、すでに怖い被害を受けた家だったので無理はない・・・
「ええ・・・すぐに病院から退院の許可が出ますよ。ご安心ください」
「ありがとうございます。でも・・・こんなに関係のない事件や事故が、突然平穏な家に訪れるものなのでしょうか?それとも私の家に問題があったのでしょうか?」
疑問を一気に聞いてきた。
「いえ・・・恐らくご主人が毛利さんの希望を無視した方向に進む危険を感じたからだったと思います。こういう事は、沢山あります・・・被害者にとってはたまらないことでしょうが・・・」
「確かに主人は・・・小暮さん達の相談を、なにを言っているんだ、バカバカしいと・・・呆れていました・・・そうですね、私が何を言っても聞き入れませんでしたから・・・・そのせいですね。」
近藤さんは誰に話すともなく独り言のように呟いた。
「そんなに自分たちを責めない事です。我々の誰がなっても不思議ではありませんでしたから・・・」
小暮さんのご主人がそう言って、みんなも頷いた。
「ところで・・・事故現場の方にはいつ行かれますか?」
道橋さんが肝心な事を聞いてきた。
続く
2008-02-29
乗り捨てられた放置自動車 22
改めて車の横に回り、フロントガラスの窪みの部分に手をかざした・・・
毛利さんの残された意識に焦点を合わせる
見つけた・・・先ほど話した毛利さんではなく、ここに残った恐怖の記憶でフリーズしてしまった魂の鎖・・・
これを解かなければいけない。
この鎖が、この車に毛利さんを閉じ込めてしまったのだ。
私はその鎖に向かって念気(ねんき)を絞り込んだ・・・
{ブチン! ガチャリ・・・}
そんな音が聞こえてきそうな感触・・・
私の眉間に 深く刻まれた皺に 額からツーッと汗が流れ落ちた。
その瞬間だった・・・気がつかなかったが急に薄暗くなっていたその空から、一気に大粒の雨が降りかかった。
「うわーっ!すごい雨だ・・・」
「きゃ!このタイミングでの雨は?」
そう言ったきりで、誰もその場を動く事は出来なかった・・・
「さあ 毛利さん・・・貴方は動けるようになったはずです。事故現場に帰ってください。必ず私が 3日以内に現場に向かいますから・・・」
そう言って自由になった毛利さんに向かって笑った。
「ありがとうございます・・・これで帰れる・・・あの場所に・・・あの場所でもここよりは近い・・・家族の近くへ帰れる・・・お待ちしています。助けてください・・・みなさん・・・本当にすみませんでした・・・」
毛利さんはその瞬間消えた・・・その気がこの車から消えたと言う意味で・・・
「さあ・・・急いで帰りましょう。みんな風邪を引いてしまいますから」
私は笑ってみんなに言った。
みんなは呆気に取られながら、やっと動けるようになったように頷いた。
そこから50mも歩いただろうか・・・通り雨だったのだろう。
その豪雨は 止んだ・・・
続く
2008-02-27
乗り捨てられた放置自動車 21
「私は・・・ただあそこに帰りたかっただけなんです。こんな所に居たくない。死んだのなら受け入れる・・・家族が待っている処へ・・・帰りたい・・・」
そう言って黙り込んだ・・・
「じゃあ、約束は守ってもらえますね?私が貴方の魂をこの車から解放します。そして事故現場に行って魂を浄化させます。そうしたら貴方はこの人たちには危害は加えない・・・それでいいですね?」
「き・危害か・・・そう思われていても仕方のない事か・・・実際 俺は一人に危害を加えた訳だから・・・いつのまにか自分の事ばかり考えて・・・人に危害を・・・あの私を轢いた奴と同じになってしまっていたんだな・・・申し訳ない・・・本当に申し訳ない・・・情けない・・・」
「私はその危害を加えられた者の妻です。でも・・・怒ってはいません・・・だから心配しないで・・・」
近藤さんの奥さんが鼻をすすりながらそう言った。
「そうおっしゃっていますよ・・・。ちなみに貴方のお名前と事故現場を教えてください。じかにお宅の住所を聞けば早いのかも知れませんが・・・」
「井口先生・・・そうですよ。住所を聞いて家族の方に知らせましょうよ。我々で・・・」
小暮さんがそう言ってきたが、私は静かに答えた。
「もし・・・私たちが家族に伝えに行くとして・・・どうやって?話の切っ掛けは?
まだ未解決事件なんですよ、この事故は・・・そこに我々が被害者にここの住所を聞きましたじゃ・・・家族や警察はどう思いますか?まだ日本では認められていない霊能力者の言葉を聞くどころか・・・いつの間にか犯人として疑われてしまうのが現実です。だから・・・だから彼には申し訳ないが、そこまで携われない・・・悲しい現実です。」
私の言葉を弱気な発言と捉えられるかも知れないが、リスクは冒せなかった。
国家権力に立ち向かうだけの強さは持ち合わせていない・・・今の私には。
「そうですね・・・無理はしなくても良いです。私は帰れれば・・・名前は毛利利治(仮名)と申します。○○県○○市○○です。自宅はそこからすぐです・・・」
「分りました、毛利さん。私の出来る事は全力でやります。そしてその後・・・そこの現場に行きます。待っててくださいね。それでは・・・」
続く
2008-02-26
乗り捨てられた放置自動車 20
車に向かって左手のガラス片を差し出した。
そしてその手の中のガラス片を車のボンネットの上にそっと置いた・・・
静かに印を結ぶ・・・・・・・・・・・
今度は右手をボンネットの上に置いた。
車の記憶と、そこに残る苦悩の記憶にシンクロする。
見つけた・・・チューニングOK。
「貴方はこ車を知っていますね?」
私はそっと少ない記憶に向かって話しかけた・・・
「そうです・・・この車の奴は・・・奴は許せない。」
「貴方はどこでこの車に?貴方はまだそこにそのまま居るのではないですか?」
「そうです・・・こんな遠い所に来てしまった・・・心と体がバラバラだ・・・」
「いえ・・・残念ながら体の方はもうすでに・・・荼毘に臥されてしまっているでしょう。」
「知っている・・・さすがにこの孤独を味わったのだからそのくらい・・・でも帰りたい・・・あの場所に・・・」
「そこの導いて下さい。場所を教えていただきたいのです。私が連れて行きましょう。」
「本当に?本当に帰してくれるのですか?」
「はい・・・この私が。その代り条件があります。」
「この人たちの事だろう?迷惑を掛けた・・・分っている。でもあの子供たちが可愛くてな・・・私の孫と同じくらいの歳だったので・・・つい」
「じゃあ初めから子供達に危害は加えるつもりは無かったのですね?」
その言葉に一同の親御さんは顔を見合せて、そして車に向かって・・・見えない被害者に向かって手を合わせた。
* ここでの被害者の声は、私の通訳で伝えていました。
続く
2008-02-24
乗り捨てられた放置自動車 19
「みなさん・・・これから私がする事は、申し訳ありませんが事件解決の為ではありませんし、助けにもならないと思います。ただ皆さんもご推察のとおり、この車によって悲劇がおこり、そして被害者が出ているようです。私はこの被害者の声を・・・いえ気持ちを聞きます。そして気持ちを鎮めてあげようと思います。
そうすれば皆さんに願った被害者との糸は切れると思います。あとは念のために警察にみなさんから届けてください。いいですか?」
「はい・・・私たちに期待された仕事は、やりと退けてあげられるのですね?」
小暮さんが言った。
「そう思います。」
「お願いします・・・聞いてあげてください・・・可哀そうですから・・・本当にこんな事があるなんて信じられません。」
「誰かに見つけてもらいたかったのですね?誰かに知ってほしかったんですね?悔しかっただろうに・・・」
近藤さんの奥さんが涙ぐみながら言った。
「そうだと思います。見つけて欲しかった・・・その気持ちが強く伝わります。」
「改めて お願いします。被害者の鎮魂を・・・」
道橋さんがみんなを見回した後にそう言った。
「分りました・・・井口 頑張ります!」
私は笑みを浮かべながら車に向きなおった・・・車の前方部分に立つ。
続く
2008-02-23
乗り捨てられた放置自動車 18
後ろへ下がった私は、握りしめた左手をそっと開いた。
さて・・・これからだな。
私は改めて車の前方に出た。
その時一人だけついてきた。
確か車関係の仕事をしているご主人だった。
そのご主人は、他の人と違い、車のボンネットの先の方を念入りに見ていた。
「やっぱりだ・・・ここに擦過傷があります。見てください・・・」
私は指を指された場所に目を向けた。
そこには何かを強く擦ったような跡が、確かについていた。
「そしてこの辺りの凹み・・・これは明らかに・・・・事故車です。仕事柄何度か見た事がありますから・・・」
言われてみたら確かに凹みが確認できた。それに風雨にさらされてしまっていたとは言え、傷部分には、グレーの色が付いていた・・・おそらく・・・衣類の色がついたのだろう・・・その位置から顔を上げた先には、凹みのあるフロントガラスが私を見降ろしていた。
「うーん・・・さすがは車のプロですね」
「いえ・・・私が分るのは、この車がどういう経緯の車かと言う事だけです・・・井口さんのように、この先は分りませんから・・・解決には繋がらないですよ。井口さん・・・どうかこの先はお願いします」
その話を皆が聞いていた・・・そして同時に頭を下げた・・・
みんながこの車の経緯を察したのだろう。
そして恐怖が改めてこみ上げて来たのだろう・・・
続く
2008-02-22
乗り捨てられた放置自動車 17
それでも私の後ろから離れずに付いてくる一団
及び腰が少し可笑しい・・・
しかし この場合は笑ったらいけない。
車に到着した・・・
ナンバーは前も後ろも取り外されて無かった。
そして前に回った私は、そのフロントガラスに目が吸い寄せられた・・・
場所は助手席の方の真ん中より少し上・・・
クモの巣状にひび割れた真ん中に、ちょうど頭くらいのへこみがくっきり浮かんでいる。
車はまだ古くない・・・
白の某メーカーの 2000ccの乗用車である。
私は助手席に回った。
中は多少暗いので、よく見えないが助手席のダッシュボードの上を見る。
私はポケットからハンカチを出して、ドアノブをそっと掴みドアを開けた・・・
「先生・・・大丈夫ですか?」
小暮さんが聞いてきた。
いつの間にかみなさんは車をぐるぐる回って見ていた。
もちろん問題のフロントガラスも、顔をしかめながら見ている。
「大丈夫です・・・まだこの段階で警察に通報しても仕方ないですから、もう少し確認しましょう。指紋も気をつけていますから・・・」
「指紋・・・そこまで考えていたんですか?冷静だな・・・さすがだ・・・」
「犯人扱いが面倒ですからね。さあ 見てください。外からでは雨で流されてしまって、赤い・・・そう血ですかね・・・確認出来なかったので、中から見てみましょう。」
この段階でもガラス片(子供達の宝物)は私の左手の中に握られている。
「見てください・・・おそらく子供たちか・・・放置した人間がドアの開け閉めの時の振動で、ひび割れたガラス片が落ちたのでしょう・・・何片か赤いガラス片が落ちています。」
「本当だ・・・極 薄くだけど・・・ピンク色だ・・・恐怖のピンクですね」
みんなも覗き込むように寄って来たので、私は後ろに下がった。
続く
2008-02-21
乗り捨てられた放置自動車 16
左の路を選んだ我々は進んだ・・・
そこは思ったよりも奥へ行けばいくほど草の丈が高くなってきた。
それも現実の距離よりも、ずっと長く歩いているような錯覚を起こさせる感覚。
「周りには何にも無いですね・・・こんな所があるなんて・・・知らなかった」
みなさんは怯えながらも辺りをよく見回しながら歩いていた。
急に止まった私に、一同はびっくりした。
「先生!」
「あそこですね・・・このガラス片の本体は・・・」
そこはちょうど歩いてきた路を、ちょこっと右に曲がった小さな広場のような空き地だった。
「あった!有りました・・・」
みんなは騒いだがそれ以上近くには寄らなかった。
「私だけが行ってもしょうがないから、誰かついてきて下さい・・・」
私は車に意識を向けたまま、希望者を募った・・・
しかし 誰からも声が上がらなかった・・
「仕方ない・・・それじゃあ・・・近藤さんの奥さんと小暮さんのご主人・・・ついてきてくれますか?」
「先生・・・怖いです、わたし・・・」
近藤さんの奥さんが後ずさった・・・
「近藤家が今の時点では、一番被害をうけていますので、お願いしたいんですが」
「先生・・・みんなで行きましょう!その方がいいですよ やっぱり」
道橋さんが近藤さんの気持ちを汲んで提案した。
一同は深くうなずいた・・・
「仕方がないですね・・・みなさんの覚悟を理解しました。」
はじめから全員で行くことを勧めるべきだったかな?と思ったが・・・
結果オーライ・・・かな?笑
続く
2008-02-20
乗り捨てられた放置自動車 15
「いえ・・・スクラップにはなっていません。まだ記憶が途切れてはいませんから」
「そうですか・・・良かった・・・のですよね?」
道橋さんが何だかよく分からなくなったように返答を返してきた。
「そうそう・・・良かったんですよ。さあ行きましょう・・・ついてきて下さい」
スクラップ工場があるような場所は、そこから発する音や匂いなどのせいで、民家などが無い場所にあるものなのです。そして・・・
しばらくいくと二股に分かれた道に出くわした。
「右に行くとスクラップ置き場ですね」
小暮さんが指さして言った。
「そうですね・・・でも私が行きたいのはこの左側の道です。」
「こっちは狭い道ですから・・・車は?」
「私は目で見ていませんから、細くても広くても関係ありません。それに細いと言っても崖とかではないのですから、車は十分通れます。常識はこう言う時 邪魔になるだけです」
「すみません・・・そうですよね。井口さんはそう言う常識外の部分を感じて生きて来たのですものね。私の時も・・・」
「私も常識はありますよ」笑
「そう言う意味では・・・これは失礼しました」
「まあいいですよ・・・さあ 行きましょう。この左の路を・・・」
続く
2008-02-19
乗り捨てられた放置自動車 14
死者が呼んでいる・・・・
大変分りにくい表現ですね・・・
サイコメトリー。
今はこのガラス片しか手元になかったから、このガラス片の記憶をさかのぼった。
そこから伝わる情報は「恐怖」「苦痛」
「怨嗟」「見つけて」だった・・・
これだけでこのガラス片の元・・・その車本体がなぜ捨てられていたかの理由になる。
しかしそこまで詳しく、この4家族に伝える事は、今の段階ではひかえた。
事件性がある場合には、軽はずみには発言できないし、別の意味でショックを与えてしまうから・・・
もちろんみんなもうすうす感じている事かも知れないが、私の口からは言えないから
「死者が呼んでいる」と言う表現になったのです。
ちょうど小学校の裏門辺りに差し掛かった。
私は再度強く呼ばれる方向を探した。
ガラス片が、車本体に戻ろうとする不思議な力を感じた。
「こちらの方向には何がありますか?」
ある方向を指差して言った。
「そちらには・・・スクラップ置き場っていうか・・・工場ですね、あるとしたら」
「そうだ!スクラップ工場だ・・・」
「でも子供達には危ないから近くに言っちゃ駄目だと言ってある場所ですよね?」
「うん・・・学校でも言われている場所ですよ・・・まさか・・・」
道橋さんが言ってきた。
「井口さん・・・その車はスクラップになってしまったなんて事はないですよね?」
続く
2008-02-18
乗り捨てられた放置自動車 13
「井口さん・・・どうすれば?我々はどうしたらいいのでしょう?」
小暮さんの奥さんがすがるように聞いてきた。
「井口さん・・・一緒に車を探しに行ってくださいませんか?我々ももう一度掛けてみたいのです・・・」
道橋さんがみんなの気持ちを代弁して聞いてきた。
「そうですね・・・このガラス片に掛けてみますか・・・」
私はガラス片に残るかすかな残留思念を探した・・・
「それでは行きましょうか。」
私はそう言って唐突に立ち上がった。
「は・はい!」
一同は外に出た・・・
「井口さん、こちらの車に・・・」
そこには大きめなBOXカーが止まっていた。
「いえ・・・歩いて行きましょう。それほど遠くないはずです。」
「えっ?そう言われても・・・田舎とはいえここらには深い草むらなんか無いですが・・・」
「いえ・・・小学校の方向に行きましょう。どちらですか?」
「小学校?子供たちが通っている小学校ですか?」
「そうです。その少し先に感じます。」
「あの辺に草むらなんか・・・無いよな」
「ええ・・・確かに・・・」
みんなが戸惑いながら話し合っていた。
「私は必要ありませんか?」
私は少しイラッとして冷たく言った。
「あっ!すみません・・・分りました。行きましょう。こちらです。」
慌てて案内し始めた。
少し歩くと小学校が見えてきた。
「このガラス片が語ります・・・早く見つけて欲しいと・・・・」
「見つけて欲しいと?そうすると車はあるのですか?まだ・・・」
「その筈です・・・死者が呼んでいます」
「・・・・・・・・・・・・・・」
流石に私の最後の言葉に、一同は凍りついたようだ。
「さあ 急ぎましょう。こちらです」
続く
2008-02-16
乗り捨てられた放置自動車 12
手の平を広げた私は、少し額に汗をかいていた。
「確かにこれはく馬のフロントガラスのようですね・・・それも・・・男性の苦痛の顔が浮かび上がった・・・みなさんは探索をされたのですよね?」
私は一同の顔を見回した。
「はい・・・それが、子供達の話を聞き、その場所へ向かったのですが・・・」
「向かったのですがと言いますと?その帰りに近藤さんが事故にあわれたとお聞きしましたが・・・」
「はい。帰りは帰りなんですが・・・実は発見できなかったんですよ・・・」
小暮さんが申し訳なさそうに言った。
「道橋さん?どういう事ですか?」
「私から説明しましょう。子供達がみな言った場所には行ったはずなのですが、なにぶん夜だったもので・・・人気のない雑木林と言う話だったもので、心あたりを全部見たのですが見つからなかったのです。」
「子供達の情報は、雑木林だけなのですか?」
「いえ・・・公園が近くにあって・・・」
「ここからどのくらいの所を探しました?」
「車で10分ほどの所を・・・」
「うーん・・・子供の行動範囲の中のはずなんですがね・・・あれから1週間ちょっとだから・・・回収されたか?」
「井口さん・・・お願いです。一緒にもう一度探していただけませんか?近藤さんに起きた事を考えると・・・安心して眠れません。子供たちにももしこれ以上何か起きたらと思うと・・・」
「そうですね・・・このまま原因の車が回収されて、廃車になってしまったら・・・終りが来ませんから・・・私が心配していたタイムラグはこの事だったのですから・・・」
続く
2008-02-15
乗り捨てられた放置自動車 11
リビングに通された私は、部屋の中を見回した。
何かを感じるかどうかを確認したのだ。
しかし・・・・何も感じない。
ソファーに腰を下ろし、コーヒーを出されて、みんなが席に着いた。
「近藤さんの奥さまは居ますか?」
まだ自己紹介がされる前に 聞いてしまった。
少しせっかちだったかも知れないが、少し急ぐ必要があった。
「はい。近藤です・・・」
「近藤さん・・・ご主人の容体は?何か言ってますか?」
「それが・・・MRIを撮ってもらったのですが、特別何も問題個所はないとの事でした。不幸中の幸いです。ただ・・・」
「ただ?」
「はい・・・何ともないはずなのに、主人は頭が痛い痛いと・・・ずっと頭を抱えたままなのです。お医者様も困ってしまっているようで・・・」
「頭が痛いと・・・中は何ともなしか」
「井口さん・・・みなさんの紹介をさせていただいてよろしいでしょうか?」
道橋さんが言った。
「あっ!これは失礼しました。先に確認しておきたかったので・・・すみません」
「はじめまして・・・横山と申します」
「はじめまして・・・佐々木です。」
「砂田と申します。先生・・・助けてください。」
「小暮です・・・この度は遠い所をわざわざありがとうございます。」
「みなさんこんにちは。 井口清満と申します。話はある程度 道橋さんから聞いています。そうだ!ガラス片をお持ちになりましたか?」
「はい・・・ここに。」
そこには小さな・・・子供達の宝物の、例のガラス片が乗った白いハンカチがあった
3つは透明な、1つだけ少しピンク色したガラス片だった。
私はそのガラス片を、手のひらに乗せてみた・・・そしてそれを軽く握りしめる。
浮かび上がる乱れた画像・・・
恐怖の感情・・・・
眉間にシワを寄せながら握りこむ私を、緊張の人たちが覗き込む。
続く
2008-02-14
乗り捨てられた放置自動車 10
駅に降り立った私を、道橋さんと小暮さんと言う、はじめに名前を聞いていた方が迎えに来てくれていた。
「こんにちは 井口と申します。」
小暮さんは、「えっ?」と言う顔をしていた。
やはり同じ説明が必要かと思いながらも、説明した。
「予想していたような、仙人みたいな人が来ると思っていましたか?」
「い・いや・・・」
小暮さんは困っていた。
「あれはTVの中のものですよ。あのような恰好をしていては、電車にも乗れませんよ。私も普通の生活をしていますからね」
私は少し意地悪な言い方をした・・
「井口さん・・・あまり苛めないであげてくださいよ。」
道橋さんが笑いながら割り込んで来た。
「苛めてないかいませんよ・・・TVや漫画の世界の影響が大きいのですよね・・・仕方ないですけど・・・初めまして 井口清満です。」
「あっ!失礼しました。小暮と申します」
最敬礼をされた・・・参った・・・笑
「井口さん・・・一旦小暮さんの家に行きましょう。」
道橋さんは言った。
「そうですね・・・先日の探索結果を少し教えていただきたいので・・・行きましょう。」
3人は道橋さんの車で、小暮家に向かった。
小暮さんの車や運転は、今回は止めましょうと言う私の提案で、道橋さんの車で迎えに来て下さいと、あらかじめ伝えてあったのだ。
今回の問題の射程圏内にいる小暮さんに、ハンドルを任せる事は、念のため 避けてもらったのだ。
危険は犯したくなかったので・・・
郊外の住宅地と言う感じの所に車は到着した。
今日は平日だから、あたりは静かだった。
家の中に招かれた私を、残りの3家族の方が迎えてくれた。
みなさん仕事を休んだようだ・・・
真剣なまなざしをしていた・・・
私にすがるような視線が痛かった・・・
近藤さんの事故が、相当なショックを与えてしまっているようだった。
続く
2008-02-13
乗り捨てられた放置自動車 9
展開が一気に動いた・・・
一日をおいた翌々日に、道橋さんから電話が掛かってきた。
「井口先生!お仕事としてお願いしたいのですが・・・」
「それは誰からの依頼ですか?」
「4家族全員からのお願いです。どうか助けて下さいと・・・」
「助けて?どういう意味ですか?随分 展開が変わりましたね・・・近藤さんもそう言っているのですか?」
「そうです・・・しかし近藤さんの家は、奥さまからだそうですが・・・」
何か引っかかる言い回しであった。
「奥さまから?どうして・・・?」
「はい・・・近藤さんが昨夜から緊急入院をされてしまったからです。」
「昨夜?原因究明に探索に言ったのも昨夜ですよね?」
「そうです・・・その帰り道に・・・」
「帰り道に・・・車の事故ですか?」
私は感じるままに言った・・・
「先生・・・やはり感じていたのですね?ただ・・・事故と言っても少し違うのですが・・・帰り道に、急に奇声を発して車道に飛び出してしまって・・・走ってきた軽自動車にはねられて・・・怪我は相手が軽でしたので軽く済みましたが・・・」
「奇声って?みなさんも居たのでしょう?」
「はい いました。奥さまも・・・」
「その奇声を覚えていますか?」
「はい覚えています・・・確か (ウワッ!押すな)だったと思います。確かに誰かに押されるように飛び出しましたが・・・」
「怪我は軽く済んだのですね・・・」
「はい・・・頭を少し強く打ちましたが・・でも それを目撃したみんなは固まりました・・・それで・・・今回の依頼です。先生・・・どうか・・・」
「分りました・・・明日お伺いします。皆さんにも集まっていてもらってください。」
そう言って電話を切った・・・
業を煮やして直接アピールに出てきたか・・・
出てくるところが違うけどな・・・でも時間をこれ以上かけられないな・・・
私は明日 行ってみる事にした。
続く
2008-02-11
乗り捨てられた放置自動車 8
翌日は、私が所用で電話に出る事が出来なかった・・・
帰ってパソコンを開いたら、道橋さんからメールが届いていた。
「お電話しましたが、お忙しそうだと思ったのと、話を詳しくお伝えする為にメールにしました。
御面倒でも、どうかお読みいただけると助かります。
例のガラス片・・・今回のお父さんの中に、車の仕事をしている方がいて、そのガラス片を見て これは車に使われるガラスですとの事でした。
衝撃ですぐに細かく砕けるガラスだそうです。
そして、そんな話をしている最中に、別室で一緒に遊ばせていた子供達が急に、頭が痛いと泣きはじめて・・・・4家族の子供全てですよ?親もパニックになって救急車を呼ぶ騒ぎになってしまいました。
今日は私もオブザーバーとして参加していましたので、一部始終見ていましたが、異様でした・・・タイミングと言い・・・病院では夜だったのでMRIは撮れませんでしたから、明日にと言う事になったのですが、お医者さんの言うには何ともないようだと・・・現に病院に着いたらケロッとしていましたそうです。すべての子供が・・・
さすがに親御さんたちは凍りついてしまっていたそうです。
常人には理解できない事が起きていると・・・みんなで帰って来た時に近藤さんが提案して来ました。子供に何としてもこのガラス片を拾った所に案内させると・・・それでみんなで明日見に行こうと・・・何か嫌な予感がします。
ちなみに明日 夜6時に集合だそうです」
読み終わって私は頭を抱えた・・・
「夜はまずいな・・・怖いもの知らずだな・・・」
この段階では、私も詳しい情報は知らされていませんでした。
しかし 子供が痛がった頭・・・
そしてそのガラス片・・・
これだけで十分的な予想はつきました。
しかし・・・私はまだ頼まれていません。
頑固かも知れないが、依頼されない段階では、簡単なアドバイスしか言わないようにしています。
迷惑な顔をされる事が嫌なのと、恐ろしかったからである。
明日・・・私はまだ動かない・・・
安全を祈りながらも・・・
続く
2008-02-11
乗り捨てられた放置自動車 7
翌日の深夜に道橋氏より電話があった。
その声はとても沈んでいた・・・・
「井口先生・・・どうやら先生のおっしゃっていた変化が・・・本当に起こってしまったようです。」
「うん?起こってしまったと言うと・・・やはり問題のある方向ですか?」
私は自分の胸騒ぎを心配していたのだ。
「はい・・・反対していた一家族・・・近藤さんと言う家なのだそうですが、そのお父さんが・・・」
道橋氏は言い難そうにしていた。
「おそらく自力で原因を調べに動いたのでしょう?」
「あっ!は・はい・・・その通りなようです。分っていたのですか?そこまで」
「いえ・・・予想です。その方の気性ならと・・・それで?」
私はその後の話を促すように言った。
「はい・・・子供が寝ている時に、お子さんの机から持ち物から・・・すべて調べたそうなのです・・・そうしたら」
「そうしたら?」
「机の引き出しの中に、大事にビニール袋に入れられた、小さなガラス片を見つけたそうなのです・・・赤みががったガラス片だったそうです。」
「それをどうやって皆さんは知ったのですか?ガラス片を見つけた事を。」
「それが3家族にその近藤さんから電話が掛かってきたそうなんです・・・こんなガラス片は持っていないかと・・・もちろん子供たちがです。」
「ずいぶんストレートな方ですね?」
「ええ・・・押しがもともと強い方だそうです。思ったらすぐに行動しないと気が済まないと言うような・・・」
「ふーん・・・子供のような人ですね。そしたら?」
「ずいぶん失礼な言い方だとみんなは思ったそうですが、一応探してみたそうです。そうしたら・・・みんなガラス片を持っていたそうです・・・色はすべて透明だったそうですが・・・赤い色は近藤さんの家の物だけのようでしたが・・・・」
「ガラス片か・・・一体何のガラス片なのかだね?宝物になるようなガラス片なのかな?」
「明日みんなで集まるそうです。今度は近藤さんも・・・・」
「それぞれのお子さんの状況は?それが心配ですね。」
「回復して学校には行けるようにまでなったそうです。だから心配ないかとも考え始めていた矢先なんだそうです。」
「そうですか・・・それなら僕の出番はないですね。何かのウイルスかも知れませんね。」
「先生・・・私は違うように感じます。そのガラス片がはっきりするまで・・・だって未解決なんですよ?このまま何もなかったとはいかないのではないかと・・・」
「道橋さん・・・詮索しない事です。頼まれてもいない事に首を突っ込まない方が良いですよ。」
私は諭すように言った。
そして電話を切った・・・
これが 6月の23日だった・・・
子供達の具合が悪くなったのが<b>6月の16日で、ちょうど一週間前であった。
続く
2008-02-09
ホラー漫画
先日 ホラー漫画家で有名な 永○保先生の家にお伺いしてきました。
先生の漫画に登場するH先生も同席して頂き、大変楽しかったです。
ありがとうございました。
奥さまもとても良い人で、安心してお酒を頂く事が出来ましたし、わざわざ行きも帰りも 永○保先生に駅まで案内していただき、ご迷惑をお掛けしました。
有名な(先生の漫画で)生き人形の気配も感じる事が出来たのも、楽しかったです。
今回はH先生の取り計らいで、永○保先生とお会いできましたが、いつか仕事でも絡めればと思っています。
(今回は飲みに徹していましたので)泣
でも・・・あまりヘビーな話は怖いから・・・笑
この場を借りて申し訳ございません。
奥様・・・おいしい料理 本当に 御馳走様でした!笑
2008-02-09
乗り捨てられた放置自動車 6
電話が切られた後・・・私なりに考えてみた。
4人の子供達が・・・ある日を境に、同時に・・・異変。
何があったんだろう?
この感じる・・・感じる 悲しい気の持ち主は・・・
しかし これ以上考える事は、今は止めておこう・・・
もし依頼をされなかった時に、この悲しい霊に答えてあげる事は出来なくなってしまうし、後が面倒だろうから・・・
翌日 遅くに 道橋さんから電話があった。
「井口先生 夜分遅くにすみません。」
「こんばんは 道橋さん・・・どうなりましたか?」
「それが・・・3家族は是非に・・・と言う事だったらしいのですが、1家族だけが反対で・・・PTAの会長さんのご主人が、頑強に反対しているそうなのです・・・」
「そうですか・・・信じない人はいくらでもいますからね・・・仕方ないですよ」
4家族の問題を、1家族の反対でNoになってしまうのが辛いが、仕方のない事だった。
「先生・・・その1家族は無視して、お願いできないかと小暮さんが言ってきたのですが・・・出来ませんか?」
これをお読みの方は、おそらくすぐに4家族の依頼が来るものだろうとお思いだったと思います。
または、このように1家族の反対くらいあるだろうが、依頼があり私が動くと 予想されていたと思います。
しかし・・・私の選択はNOでした・・・
「子供達の事を考えると、何とか急いで動いてあげたい気持ちになるのですが・・・いまその1家族の反対がネックになるように感じますので、いまはお断りします・・」
「気分を害されましたか?」
道橋さんが申し訳なさそうに小声になった。
「いや・・・そんな事はありませんよ。しかし・・・その1家族のお父さんの動きに気をつけていてください。明日 変化があるでしょうから・・・」
「・・・そんな事があるんですか?あした・・・分りました。待ってみます。すみませんでした・・・」
明日・・・何があるのだろう?
自分で自分に問うた・・・感じたままを言った自分の言葉に・・・
続く
2008-02-08
本当の舞台の裏側

7日 ある女優さんの舞台を見てきました。
2階席まで満員で、大変盛況でした。
幕が下り、いつものようにマネが迎えに来て、楽屋へGOでした。
しかし・・・楽屋の前には沢山のお客さんやお花が一杯
先生には最後にお話をゆっくりしたいから、最後まで待っててくださいと言われましたので・・・しばし時間つぶし
ウロチョロしていたらなんと 舞台の裏側へ出てしまいました。
千秋楽だったので、大道具さんがセットの撤去で大忙し・・・
私は私で、舞台からみた客席ってどうな感じに見えるんだろうと興味がありまして、撤去中の場所に行って、写真を「パチリ」
小さくて見にくいですが、真ん中の赤い色で写っているものは、観客席です・・・
手前の壁などは、空中から吊るされて降りてくるセットです。
舞台って奥行きが随分あるんだな…と驚きました。
だから大きな仕掛けや、大きなセットが動く訳だ・・・と感心していましたら、マネージャーからお呼びが掛かって楽屋へ向かいました。
「先生・・・どうでしたか?ちゃんと出来ていたみたいですかね?」と質問されて」
「凄く良かったよ・・・君も運勢が随分上がったね?」と言ってあげたら・・・
「先生のお陰で、来年の3月まで舞台のスケジュールが埋まっているんです」と・・・
そして10月にはCDが久々に発売されるそうで張り切っていました。
見てあげている人が、どんどん良くなっていく姿を見て行くと・・・やっぱり嬉しいものです。
あと・・・チケットを別入口で、名前を言えば入れる事が、なんか嬉しい・・・
いつもこうだから、お金も払っていません・・・いけないな・・・これは。
でも 今日は舞台裏を本当に・・・リアルに見られたので感激しました。
15日には、白金のある店を貸し切りってパーティーを開くそうで、どうしても来て下さい・・・との要望でしたので・・行ってこようかな・・・でも 意外とそう言うの苦手なんだよな・・・
芸能人とかTV関係者や、舞台関係者ばかり来るんだろうな・・・
私は浮くな・・・が心配だけど、つまらなきゃ帰れば良いだけだから・・・一応行こうと決めました。
彼女のお陰で、本当にミュージカルや舞台が好きになりました。
ただ難点が一つ・・・
周りがほとんど女性・・・
男が一人座っていると違和感がありますね。
まえから8列めの真ん中でした。
真正面で見れたのも、彼女の気使いでしょう。
良い席で下から 本当に。
今日は本当に楽しかったです
2008-02-07
乗り捨てられた放置自動車 5
「霊能者・・・ですか?怖いな・・・それに依頼すると相当高い金を吹っ掛けられるのじゃないですか?」
小暮さんは慎重だ。
「いや・・・私も頼んだ事があるから知っている・・・安心してくれ・・・・」
「小暮さんがそう言うのなら・・・ひとつ教えてください。この問題の原因は・・・諸悪の根源は、一つですかね?」
「そうだと思う。素人ながらもそう感じる・・・4人の子供が同時に・・・という事の偶然など無い筈だからね。」
「そうですね・・・明日他の3家族に話をしてみます。」
「うん・・・そうだな・・・その結果を連絡してくれ・・・」
「はい・・・いろいろ心配を掛けてしまいました。でもありがとう・・・道橋さん」
私の知人の道橋さんは、その後に私に電話を掛けてきた。
「井口先生・・・まだ仕事としてお願いするようになるかどうかは分からないのですが、聞いていただけますか?」
「ええ・・・お伺いしましょう。」
「実は・・・・・・・・・・・」
とだいたいのあらましを聞いた。
「う・・・ん。子供達が・・・おそらく道橋さんの思う通りの、玲関係でしょうね。それも悲しい霊を感じます・・・・」
「悲しい霊?ですか・・・」
「まあ・・・これ以上は実際に依頼されてからでないと詳しくは分りませんが」
「そうですね・・・明日 連絡を待ってみます。」
そう言って道橋さんの電話は切れた・・・
この段階では、私にはまだ原因は見えなかった・・・・
続く
2008-02-05
乗り捨てられた放置自動車 4
私が子供達の中の一家族に呼ばれたのは、子供達がこの車を{秘密の基地}にしてから一週間後であった・・・・
たまたま私は、以前この子供のお父さんの知り合いの、ご家族を見てあげました。
その知人は、この子供のお父さん(小暮さん)に、子供の異変を聞き、相談に乗っているうちに、これはまずいと言う気持ちになってきたそうです。
しかし なかなか私の事も含めて話しにくかったので困っていたそうです。
そう悩んでいるうちに、小暮さんから他のお子さんの家も異変が起きていると聞いたのだそうです。
もともと仲の良かった家同士だったので、集まって子供達の様子を話しあったと聞き、4人の子供の共通するものを考えては?とアドバイスしたそうです・・・
しかし思い当たる事が無いとの返事だったそうです。
でもとにかく変なんですと・・・と言う小暮さんの言葉だったので、その知人はこう言ったそうです。
「小暮さん・・・小暮さんは信じないかも知れないけど・・・信じなくても良い・・・でも聞いてくれないか?私がこの話を聞いたとき、少し普通と違うように感じたんだ。小暮さんは霊障の話などは信じないかな?どうもこの話は、そこが切り口なんじゃないかと思うんだ・・・でも信じてくれなければ聞き流してほしい・・・」
すると小暮さんのお父さんは
「・・・・・そう思いますか?やっぱり」
と言う返答が返ってきたそうです。
「じゃあ 何か?」
「ええ・・・子供達が同じ日から、どうも夜中同じ言葉を寝言で言っているようなんですよ。可笑しいと思いました。」
「寝言を・・・やはり変だな。小暮さん 実は言って良いものかどうか迷っていたんだが、私は以前 霊に関する事で、相談した人がいるんだ・・・霊能者という類の人なんだけど・・・・」
「れ・霊能者?怖いな・・・・」
「そう・・・僕もそう思ったよ・・・でも自分たちではどうにもならなかったから、藁をもすがる思いでお願いしたんだ」
「・・・・・・・・・・」
「どうだろう・・・一度この先生に連絡を取ってみては?もちろん僕から連絡しても良い・・・話しあってくれないか?」
続く
2008-02-05
乗り捨てられた放置自動車 3
しかし・・・1人の男の子が、つまんだ宝石のようなガラス片をじっと見ていた・・・
「なんか俺の宝石・・・赤い色しているぜ。レアなんじゃねえかな?やった〜」
「どれ?本当だ!すげ〜」
口々に騒ぎながら、子供達は車を降りた。
「もう暗くなっちゃったな・・・ここの事、大人には内緒にしようぜ・・・分ったな。」
ガキ大将がそう言った・・・
他の3人はニコニコしながら頷いて、それぞれの家に向かって歩き出した。
車の放置されている場所は、背の高い草むらに囲まれている場所だった。
人の目にはなかなか触れる事のない場所だったのかも知れない・・・
しかし・・・この車には、異様な空気のような物が、渦巻いているようだった。
それは人の怨念のような・・・
それぞれの家に帰った子供達は、その日手に入れた、宝石のようなガラス片を、大切に机の引出しにしまった。
「あれ?貴ちゃん・・・珍しく机でお勉強?」
「えっ?そ・そうだよ・・・宿題 宿題・・・」
そう言って慌てて引出しを閉めた。
貴ちゃんとは、今日放置自動車を発見した子供の一人だった・・・
異変は・・・この貴ちゃんから起きたのだった・・・
続く
2008-02-04
乗り捨てられた放置自動車 2
昨日まではそこに無かった車・・・
しかし子供達にはそんな事はどうでもよかった・・・
新しい遊び道具が増えた・・・ただそれだけの事だったのだろう。
交通公園のようなもので、少し大人のような気持ちになって、その車の中に、物凄く興味を持ってしまう子供が、一人か二人いる・・・
その車のドアに、たまたま鍵が掛かっていなければ尚更であったであろう。
「おい!この自動車・・・ドア開くぜ?」
「本当だ・・・すげ・・・俺達の隠れ家だ!」
そう言って4人の子供達は大喜びで 車内に飛び乗った。
内側はまだ綺麗だったので、子供達は自分に家の車と同じように考えてはしゃいだ。
もちろんダッシュボードやらあちこちを全て探索した彼らは、なにも出てこない事に少し不満顔であったが、実際にハンドルを握った頃には、すっかりご機嫌になっていた。
そのハンドルの斜め上に、丸く内側に窪んだひび割れのガラス片が、この時にパラパラとダッシュボードの上に落ちてきた。
「すげ・・・これ宝石みたいだぞ・」
一人の子がその小さな破片をつまみ上げて言った。
「本当だ・・・俺ももーらい!」
そしてもう一人の子もつまみあげ みなポケットの中にしまった。
続く
2008-02-03
乗り捨てられた放置自動車 1
これは埼玉県のある人の依頼で動いた時のお話です。
そこは東武東上線のずっと先のある静かな町で起きた事です。
みなさんも見た事はありませんか?
いつからなのか・・・そこの1台の放置された自動車が止まっていた。
それが乗り捨てられた車なのは、外されたナンバープレートで分ります。
しかし・・・不思議な事にそれ以外には大した破損部分は見つからなかった。
ただ・・・前部分に、何かを強くこすったような跡と、少しのへこみ以外は・・・
それがこのお話を読んで行く上では、重要な事なのです。
もし・・・そこが小さな子供達の格好の遊び場だったとしたら・・・・・・・・・
もし・・・そこに貴女の子供が居たとしたら?
貴女ならどうします?
続く