私が出した提案は、はたして人柱の屈辱と苦痛に長い間苦しめられたこの男に、受け入れられるのだろうか?賭けであった。
「貴方はこの家を怨み、どこかで貴方の目的を達成しなければ、貴方の心が成仏出来ないはず。そこで、この家の当主を一人は連れて行かなければならないのでしょう?だったら考えられる事は、今のここの当主・・・または次の当主であるこのお嬢さんの2人しかいません。」
「ちょっと待て!おぬしは何を言っている?それではこの家は・・・この子の命を差し出すのか?」
横で聞いていた源四郎老人が慌てて叫んできた。
「まあ聞いて下さい、老人。この子には私が付いている。今の話も聞いている、そして苦しんでいる。
この子はこれから大人になっても、この事は忘れずに、先祖の行いを悔い、貴方たちの無念を、一生供養する事だろう。私がそれを見届ける。約束もする。その役を行うものが必要だと思わないか?」
「確かに今後 ずっと供養等を建てて、供養し続けて欲しい。ならば残る一人は・・・」書生はボソッと言った。先ほどまでの怒りを含んだ顔つきとは一変していた。
心なしか疲れきった男の顔であった。また妙に人間臭さが感じられる。もとのこの男は、このような朴訥とした、素直な青年だったのだろう。それが一層哀れさを私には感じさせた。
「そう・・・残る一人は、この子の父。現在の当主です。」
あまりにもあっけなく言い放った私を、一同は奇異の目で見た。
続く