このお話は、私が12年位前に、ある人の依頼で動いた案件のお話です・・・
場所は東京 江東区のとあるマンション7階のあるお部屋
その日は私の知り合いに連れられて、36歳くらい女性が訪ねてきました。
「実は私の主人のことなんですが・・・」
話を聞くと、ご主人は都内のホテルのシェフをしていたそうなのですが、ある日仕事中に心臓発作で帰らぬ人になってしまったそうです。
本当にあっという間の出来事で、周りに居る同僚の人たちも、一体何が起きたのかも分からずに、呆然としてしまったそうです。
それまで仕事一途の真面目人間だったそうです。
一種の職人と呼ぶべきでしょう・・・
その日は・・・更に幼い一人息子さんの誕生日だったそうで、そのケーキを作っている最中に起きた発作だったそうです。
作業台の上には、完成した息子さん用のケーキが残されていたそうです。
「それで?もしかするとそのご主人がまだ居ると?」
私が問うと、奥さんはハッと目を見開き私の顔をまっすぐ見てきた。
「そうなんです!亡くなったのは昨年の9月なんですが、今 私ははっきりと誰かが居るという気がするんです。主人の匂いみたいな物が、フッと前を通り過ぎるような・・・」
今は6月・・・成仏のタイミングを逃した悲しき霊か・・・
「お子さんの反応は?おいくつですか?お子さんは」
「はい、今 2歳です。子供がいつもパーって言って、まだ捨て切れていない、仕事用の服の方を見上げて言うんです。」
「幼いお子さんには見えるんですね・・・生前と同じように・・・しかし、まだご主人の霊と限った訳ではありませんからね」
お子さんの2歳の誕生日に、忙しい仕事のかたわら、ケーキを作り、作り終えたら心臓発作で亡くなった。さぞ無念であったろう・・・残した家族を心配しただろう・・・その悲しき心が、魂を現世に縛り付けてしまう。
悲しき霊たちよ・・・
「これからお家にお伺いしても構いませんか?念のためにお子さんは家には居させないようにしてもらって・・・」
「はい!お願いします。子供は実家に預けてありますから心配ありません」
奥さんは初めからそれが希望だったようでした。
続く