本来ならば、除去してしまうはずの性悪な霊。
しかし話によって理解させられる霊には、強引な力を使う必要はない。
この場合の霊は、そんな一例であった。
「昇れる道を作るから・・・」
私はそう言って、ぶら下がりの男の前に座り込んだ。
この時には、私は無警戒状態になるので危険だが、
大丈夫との判断であった。
「○○○○ ○○○○」
時間にするとほんの20から30秒たらず・・・
私的な表現をすれば・・・
頭上よりカーテンコールのような光が降りてきて真っ暗な部屋が、明るいイメージに変わる。
まぶしい位の光・・・
「さあ・・・橋本。この光が見えるか?」
「ああ・・・見える・・・見えるとも・・・」
橋本は興奮ぎみに答えた。
「最後にもう一言だけ言いたかった・・・聞いてくれ。」
「なんだ?」
「俺は・・・俺は前の住人を怖がらせようと思ってやった訳じゃないんだ・・・気がついて欲しかっただけなんだ・・・でも結果的に俺は霊だった事を忘れていた。すまない事をしたと思っている。」
「ほうか・・・それは重要な気持ちと発言だ。橋本・・・君は悪い奴では無いんだな・・・ただ気弱な青年なんだ。東京の水に合わなかった・・・君は被害者なのかも知れないな?」
「悪霊じゃないのは分かってくれたんだね?ありがとう」
「さあ・・・もう何も考えずに・・・昇りなさい。またチャンスを失ってしまうから・・・」
私は手のひらを、天井の光の根元にあたる部分に徐々に上げていった。
それに比例して橋本の姿も小さくなっていった。
「上がったかな?」
私はヨイショッという感じで立ち上がって、部屋中を見回した。
「完了!」
空気に漂っていた、腐臭はすっかり消えていた。
続く