坂下は極力冷静になろうと努めた。
本当は早くこの部屋から飛び出したい気持ちだったが、この部屋の持ち主の宮部典子の事を考えると、この不確かな自分の発言で、怖がらせたままにしたらいけないと思った。
「俺が今 影が動いたような気がしたと言ったけど、確信はないんだ・・・ごめん。もしかすると気のせいかも知れない・・・いやきっと気のせいだと思う。」
坂下はそう宮部に言った。
「そうよね・・・気のせいって事もあるよね?だってみんなが見た訳ではないしさ!」
裕子が励ますように言った。
「おい坂下・・・お前デジカメ持って来たよな?」
加藤が坂下に聞いて来た。
「ああ あるよ。撮ってみるのか?」
「うん。よく目では見えなくてもカメラには写るっていうからさ・・・デジカメならすぐ確かめられるし・・・何も写らなきゃそれで安心なわけだし。」
「そうだな。加藤の言うとおりにしてみよう。俺が変な事を言ったばっかりにさ・・・ごめん」
それまでうつむいたまま黙っていた典子が口を開いた。
「でも・・・確かに安いよね・・・はじめはラッキーと思っていたけど・・・おかしいよね?あの家賃は・・・」
「まあそう言うな。写真を撮ってみよう・・・ただの掘り出しものかもしれないぞ〜」
加藤は少々乱暴なタイプだが、こういう時には頼りになる男だった。
続く