土曜日になった。
遠藤(仮名)さんは時間通りに迎えに来てくれた。
「今日はありがとうございます。よろしくお願いします。あの・・・感じたままを素直にすべておっしゃってください。お願いします。」
「分かりました。そうしますね」
遠藤さんの物言いは、よほど心当たりが有るような口ぶりであった。
程なく遠藤の表札が掛かる一軒家が見えた。
そいて玄関前の駐車場に車を入れた。
先に下りた私は、遠藤さんの家を一望した。
「ふーん・・・正面は何も感じないか・・・」「さあ・・・こちらです。」 そう言って遠藤さんは玄関を開けた。
「このお線香の匂いは?」
「はい・・・2Fに上がりますとよく分かりますので・・・・」
2Fに案内された私は、そのお線香の香りの理由を思い知らされた。
「凄い眺めですね〜・・・絶景すぎて・・・」
2Fの窓から飛び込んできたのは、あたり一面の墓地だったのです。
「このお線香の香りは・・・本物だったんだね」
「先生・・・お話の前に、この窓から下もごらんになって下さい。」
遠藤さんに促されるままに、窓を開けて下を覗きこんだ。
「この家の塀・・・墓地との境になっているだけなんだ?凄いな・・・これは」
「昔は測量も曖昧で・・・・その上、このお寺の住職がルーズな人で、土地の切り売りが頻繁に行われていたようなんです。だから・・・この家との境界線も・・・・」
「お寺の土地の切り売り?お墓の土地もか?ひどすぎるな・・・・」
「それでは・・・先生こちらにお座り下さい。」
続く