遠藤さんは答えを早急に求めてきた。
弟さんのことをずばり言われてしまって、少し冷静さをなくしてしまったようだ。
「ご・ごめんなさい」
自分のパニック状態に気がついたようだ。
「焦らないで下さい・・・弟さんの事から解決させていきましょう。」
「はい・・・・弟は今ここに居るのでしょうか?成仏していないのでしょうか?」
「成仏していないでしょう・・・貴方の夢にも現れているようです。」
「・・・・はい・・・何度か夢を見ました。靴・・・僕の靴って・・・・探し回っている弟が私に悲しそうな目で、訴えてくるんです。」
「やはり・・・・その時 遠藤さんはそのままにしていたんですか?」
「・・・・はい」
そう言ってうつむいてしまった。
「今は貴方を責めている訳ではありません。前向きな話をしましょう・・・いいですか?」
「分かりました。お願いします。」
「その欲しがっている・・・探している靴に見覚えはありますか?具体的に・・・」
「はい・・・母が買ってあげたものですから。白に水色の3本線の入ったスニーカーです。
「その時のその靴の、使わなかった片方は今何処にあるか分かりますか?もう捨ててしまっていますか?」
「・・・あるはずです。入院中に履いていた左足ようの靴は、今もとってあるし・・・・母が可愛そうだから両足分を揃えてあげようって言ってましたから・・・」
「そうですか・・・その時の靴でなければ駄目なのですよ・・・他の靴では納得しないのです。」
「先生!探してみます・・・今すぐに。」
遠藤さんは心を決めたようにソファーを立った。
「私も手伝いましょう・・・弟さんの名前は何と言いますか?」
「弟の名前は、幹夫といいます。遠藤 幹夫です」
「それじゃ 幹夫君。君の靴を探しに行くから、君も手伝ってくれ・・・」
井口はそう言ってソファーを立った。
遠藤さんはそんな言葉を言う私を、不思議そうな目でみつめていた。
「います・・・か?幹夫が?」
「貴方の事は怒っていないそうです。」
私の突然の一言で、遠藤さんの背中がピーンと伸びたのを感じた。
「それは・・・それは弟の言葉ですか?・・・幹夫の?」
「はい・・・怒ってないよ、姉さん・・・と。さあ そんな事より今は靴を探しましょう。」
二人は幹夫君が使っていた部屋を訪れた。
あいにくお母さんは外出中で、教えてもらえないので、自力で探す事になった。
続く