スーツの両肩が裂けた・・・
しかし体までは届いていないようだ。
今までの彼であれば、あっさりと後退していただろうが、今の彼は、激情に身を委ねている怖いもの知らずの霊能者だ。
ある意味とても危険な存在でもある・・・しかし、そこは彼も、私がサポートについている事で、安心して暴走を始める事が出来るのだろう。
「しまった!」
龍門が叫んだ・・・悪霊を拘束する聖水の効力が、今の両肩への攻撃で外れてしまったようだ・・・
「甘いはな・・・ぐふふ・・・こんな聖水ごときで、俺の欲望の業火は消えやしないぜ・・・ぐふふ」
「そうはいかない・・・私がいる事を忘れられちゃ困るよ・・・」
念のために私の縛りもかけておいたのだ。
「なんだ!!お前たちは協力し合わない奴らのはずだ・・・今までほとんどの霊能者どもが、つまらない意地で歩調を乱して、逆におれの餌食になり、精神障害になった霊能者が多かった・・・なのにお前たちは・・・協力し合うのか?くそっ!」
「今日だけだ・・・今日はサービスデーなのでな。龍門くん やれ!!」
「サンキュウーですね・・・やっぱりまだ甘ちゃんか・・・修行が足りませんね。」
「これから修行すればいい・・・それよりも早く!」
「井口さん・・・今のまま攻撃すれば、サキエママの体や精神に傷がつく恐れがあります。その縛りを外してください。私がやります。」
「大丈夫か?本当に・・・」
「はい!必ず・・・」
「よし 任せた。」
私はそっと縛りを外した。それと同時に斉藤マネージャーに飛びかかる、着物姿のサキエママ・・・
「斉藤さん!しゃがんでください」
龍門は、斉藤さんに一声叫んで、踏み込んだ。
右手に握った銀の十字架から、白銀の光が伸びた・・・
それはまるで光の剣ように・・・サキエママの背中をないだ・・・
物理的ではない、聖なる光の剣・・・サキエママの実態には傷はついていない。
「ゴ・ゴ・ゴ・…グウ・・・グオー」
のけぞるサキエママ・・・その背中から緑色の悪霊の実態が、はじめてぶれて見えた。
「いまだ 行け!龍門クン!!」
「はい!!」
続く