男が消えて、コップの中の水が、見る見るうちに減って行った・・・
この頃はまだ私も若く、経験と言う意味では少なかった時期ですので、さすがにびっくりしてしまいました。
それでも落ち着くと慌てて服を着替えて、フロントに降りて行った。
もちろん確かめるためだ・・・
「すみません・・・404号室の井口ですが・・・」
仮眠をとっていたのだろうホテルマンが、眠たそうな顔で現れた。
「どうしました?」
「404なんですが・・・あの部屋・・・何かありましたか?」
「お客様・・・ご心配はありませんよ。あの部屋では何もありませんから・・・お疲れになって夢でも見られたのでは?今日は暑いし寝苦しさが手伝って・・・」
妙にフロントマンは落ち着いていた。
そこで私は切り口を変えてみた。
「ずばり言います・・・私の部屋に焼死した中年の男性が出たんですよ・・・水をくれと・・・これどう思います?私がここまで細かく 狂言を言う必要もないし、夢をここで語るほど馬鹿ではないつもりです」
少しフロントマンの顔が変わった・・・
「焼死・・・ですか。」
「そうです・・・相当苦しかったようですね。」
「お客様・・・本当にあの部屋では何もないんですよ・・・あの部屋では・・・」
「ただ・・・正直に申しまして、末尾に4がつく部屋に宿泊される方から、同じようなクレームは、過去に数件いただきました。」
「4号室?縦並びですか?このホテルは?」
「はい・・・きっちり縦に並んで建てられています。」
「確かに私も、部屋に入った時には、なにも感じなかった・・・しかしそこに出た」
「お客様は・・・霊感がお強いのですか?」
「ええ・・・普通の人よりは多少・・・」
「そうですか・・・それじゃあ 別のお部屋をご用意させていただきます。霊感がお強ければ、なおさら辛いでしょうから」
「それはありがたい・・・でも、やはり土地ですか?このホテルの前に建っていたものの・・・・」
「その通りです・・・」
フロントマンは、702号室のキーをよこしながら言った。
続く