私の話をじっとしたまま聞いていた神村支配人・・・
「まさしく・・・その通りです。ここにあったお屋敷は、私の親戚なのです。おじさんが犠牲になりました・・・・・
描写が・・・描写がそのままなんですよ。
全身大やけど・・・大やけどと言っても、実際はもう手遅れだったんですが・・・
苦しがっていました。1日だけしか生きていられませんでしたが・・・
末後の水だけでもと思っていたようなのですが、それもかなわず亡くなったそうです。その後にここの土地は売りに出されました。けっこう大きな土地だったようで、そのあといくつかのお店や会社が買い取り、何かしらを建てたらしいのですが・・・みな上手くいかず人手に渡り・・・点々と。今はこのホテルのオーナーが買い取り、このホテルを建てたのですが・・・そうですか・・・・地鎮祭を・・・ちゃんとやるという約束だったんですが・・・確かに私がこのホテルに勤めてからも、おじさんは彷徨っているようです。何とかしてあげたかった・・・でもどうにも出来なかった。せめて私がここに勤めて、ささやかな供養をしてあげていました。ご覧になりますか?104号室を?」
「104号室を?ええ・・是非。」
「行きましょう・・・不思議ですね 井口さんは。普通ならこんな話を聞いて、この時間に104号室を見に行きましょうなんか言われたら、冗談じゃない!と思うはずなんですが・・・それを井口さんは・・・」
「僕には義務があるように感じるんですよ」
「義務・・・ですか?」
「そう・・・僕を頼ってきてくれたと思っていますから・・・」
「井口さんを待っていたのかも知れませんね・・・私もそう感じました。」
「見に行きましょう!104号室を」
「はい・・・お願いします。」
神村支配人の顔が、パッと明るさを取り戻した。
続く