神村さんが104号室の鍵を開けた。
104号室・・・私が今日泊まっている部屋が404号室・・・
まさしくその一番下の部屋にあたる。
土地に問題があるとしたら、この部屋が一番強く影響が出ているはずだ。
「ガチャ・・・」
部屋に入ったと同時に私は思わず声を出してしまった。
「この部屋は・・・客室としては使っていないのですね?」
「はい・・・私がオーナーにお願いして、安く長期契約させてもらってます。」
「なるほど・・・」
私の目の前に現れた光景は、何と表現したらいいのだろう・・・まるでお寺か・・・客商売だからお線香こそ焚いていないが、立派な祭壇から、中年の男の人の写真に、
お酒や果物まであがっている。
「この男の人だ・・・さっきの人は」
「やはり・・・この人がここで焼死したおじさんです。」
「この部屋は供養のために?」
「はい・・・あと、少しでも魂を鎮めてあげたくて・・・」
「そうですか・・・しかし神村さん・・・おじさんが一番欲しかったものは、お酒ではなく、大量のお水だったのです。それも浴びるほどの・・・ね。」
「水でしたか・・・・確かに。しかし考えもしなかったです。」
「ここは幸いにもホテルですよね?浴室がすぐにある・・・この浴室に水を一杯張ってあげてください・・・それが一番喜びますよ。3日にいちどくらいのペースでお水を張り替えてあげてくだされば大丈夫です」
「人間て愚かですね。すぐに供養だったらお酒だ 果物だ、お線香だと・・・一番肝心な事を、私は見落としていたのですから」
「神村さんに限ったことではないですよ。」
「明日からやります・・・というより今日からですね?今のこの時間を考えれば」
お水の手配をさせたので、私の出来る事は何かを考えた・・・
続く