スイッチの入っていないおもちゃが鳴る。
通常時ならば、それほど驚く事はないかもしれない・・・
しかしこのタイミングで鳴った場合、さすがの私でも、不意打ちを食らった感じがして、少し固まったのも正直 事実でした。
「存在をアピールしていますね・・あはは」
「井口さん・・・私はこの家に引っ越してきて2年ちょっとなのですが、その間に2度の大きな手術をしました。心臓のです。
この家に引っ越してきてから・・・と言う事を考えたら、問題はやはりこの家かなと思ってしまうんです。
でも、いざ引越しの話になると、なぜか話が詰まってしまい、そのままここに住み続ける事になってしまうのです。まるで縛られているような・・・この家に。」
「そんな大きな手術を・・・」
「ええ・・・近いうちにまた検査に行くんです。定期的に検査をしなければいけないんですよ。」
「そう言う状況なのに、私に断られた・・・それじゃ嫌な気が倍増しますよね。確かに私自身、こちらから断る事は滅多にないんです・・・何故かがありました」
「はい・・・井口さんに断られてから、2人の他の方に依頼して来ていただいたんです。陰陽師の方と、霊能者の方でした。物を売られたり、勝手に送られたりしたんですが、結局解決に至らなかった・・・と言うよりも、ほとんど変わらなかったのです」
「・・・・・・陰陽師の方と霊能者ですか・・・お二人ともこのレリーフには気がつかなかったのですか?」
「はい・・・見事に・・・逆にこちらからこのレリーフは変じゃないですかと聞いたら、これはなんでもないと言われてしまいました。」
そう言って桜井さんは自嘲気味に笑った。
高いお金だけ取られてしまった自分に、がっかりしていたのだろう。
「それで・・・もう一度だけ井口さんにアプローチしてみようと思い、メールをしたんです。」
「うん・・・今回の桜井さんは、以前の桜井さんと違っていました。だから受ける気になったのです。」
「はい・・疲れ切ってしまい、以前のような気持ちではなくなったのも事実です。こんな病気になって、こんな家に縛られるのも、自分の運命なのかと思い、弱気になったんだと思います。」
「でも・・・それが良かったのだと思いますよ。」
「最後の頼みでした。」
「じゃあ・・・やってみましょう。まずこのレリーフに話しかけてみます。それからこの家にいる霊たちに話しかけてみます」
私は座りなおして 印を結んだ。
続く