風呂場から見える廃寺・・・
「あのお寺が、お話にある廃寺ですね?」
「はい・・・いつのまにか打ち捨てられてしまったのです。境内には公園もあったり、昼間はまだ多少いいのですが・・」
「夜になると・・・別の顔をさらけ出す・・・か。」
「あそこの鳥居には、しめ縄がされているのですが、何度締め直しても切られてしまうんです・・・切り口は切った跡はなく、引きちぎったような感じでした。この部落の者がみんなで確認しましたが、みな同じ感想でした・・・」
「しめ縄を何度も引きちぎるほどの、物好きはいないでしょう・・・罰だって当たりそうと考えるし・・・」
「それではどうして?」
「罰を恐れる必要のないものがいるのでしょう・・・あのお寺跡に・・・」
部屋の戻った私は、見たままの感想を伝えた。
そこでまた新たな話を聞かされた。
「実はあのお寺の周りには、公園だけではなく、太い立派な木が生い茂っているのですが・・・そこで首つり自殺も多発しているんです。」
「首つり・・・ですか?最近ではどのくらい前ですか?」
「今年の2月です・・・今から3か月前です。」
「まだ最近ですね・・・」
「その場所が、無視できる場所なら良いのですが、駅に向かう近道で、その参道を子供達も通らなければいけない道なのです」
「だから しめ縄が切れている事も発見しやすい訳ですか・・・まずいですね」
「はい・・・家だけではなく、このあたりの部落の重要な道なのです・・・」
「これから行ってみましょうか?」
私は唐突に言った。
「先生?今は11時ですよ?こんな時間からですか?」
「ええ・・・この時間だから見えるものもあります。それに今を見ておかなければ、昼間だけ見ても違いが分からず意味がありません。」
続く