「クッ!・・・キツイナ!」
ご主人は、この人が焼身自殺したと言うのに、今では再婚をして・・・そしてこの家を建て直し、夫婦として暮らしている。
「行き場がなくなるのも無理ないか・・・
この怨嗟の声は、誰に向けての言葉なのだ」
手から伝わる暑さと熱気・・・頭の中に響いてくる怨嗟の叫び・・・
「汝の叫びは誰に向けたものだ?」
シンクロが出来た・・・
「教えてください・・・汝の叫びは誰に?」
「主・・・主人に・・・む・・むけ・ている・・・」
「ご主人に・・・どうして欲しいのです?」
「わ・・たしが死んだ理由を・・・知って・・い・・るのか・・・知りたい・・・でも・・・い・・ま・はあきら・・めて・・いる・・・おん・・なが・・・すみこ・・・んできた・・・だんかい・・・で」
「確かに・・・言う事は分ります。気持も分ります。そしてそれをあきらめた時から貴方のこの世での地獄のような苦しみの地縛が始まったのですね・・・答えを聞けない・・・もどかしさから・・・」
私は同情した・・・
「でもあなたは何故・・・私たちにしたようにご主人に訴えかけなかったのです?」
「あ・・・愛して・・い・・る・から・」
はじめて怨嗟の叫び声が止まった・・・そしてその女性の顔から、涙がこぼれ落ち始めた。
「主人は・・・浮気をしていました。それを何度せめても答えてくれなかった。止めてもくれなかった・・・私は安定剤を飲み続けていましたが、主人は変わろうとしてくれなかった・・・だから・・・あの日・・・それを訴えたくて・・・手紙を残して・・・死にました。でも・・・あの火事でその手紙さえも焼けてしまうとは・・・考えもしなかった。私が馬鹿だったのですね・・・追いかけても・・・無駄な事を知っていながら・・・」
「手紙が・・・遺書だったんですね?」
「その中に気持ちを全部込めていたのに・・・何の意味もなくなってしまいました。
いつしか普通の会話状態まで、その女性の心は安定し始めていた・・・
続く