そこに立っていた河野さんが、稲荷神社の事を知っているらしい。
「あそこは○○稲荷と言いまして、伏見稲荷じゃありません。かなり古くからある稲荷です。何でも昔この近くにあった川が、良く氾濫をして多数の死者を何度も出したので、村人がそれを鎮めるために建てたそうです。」
「河野さん詳しいな・・・そうですか・・・これは私の知識不足でした・・・伏見稲荷様に申し訳なかったです。でも何故そこまで河野さんは詳しかったんですか?」
「私もよくお参りに行くんですよ・・・それで書かれている看板などを読んだりしまして・・・お恥ずかしい・・・こんな仕事の人間が手を合わせたりして・・・」
「ちょっと待てよ・・・お嬢さんを閉じ込めてあるところは?」
私は突然危機感を感じ叫んだ!
「さっきまで風呂場に・・・あっ!川の氾濫での死者・・・水・・・これはやばいですね!場所が悪い!」
河野さんも私の言っている意味が分ったらしく慌てた。
「だから荒れたんだ・・・水の場で。今は?」
「はい!奥さんが部屋に・・・相当大変だったようですが・・・でも確かに風呂場から出したら静かになったようです。グッタリと・・・」
「お稲荷様・水・雨・・・ここにつながるのか・・・どういう意味かまでは分からないけど・・・すべて水に関係するな・・・ちゃんとお嬢さんを見張っていてください。」
数人が慌てて走って行った。
叫ぶ私の肩を後ろからそっと叩きながら
「井口さんの考えがあっているようだな・・・さすがだ・・・」
「ありがとう 阿黒さん。でも分っただけでまだ解決はしていませんから・・・これからです。」
「そうだな・・・でも知っていると居ないでは、鎮めるためには大きな違いだ。俺達の仕事は、力だけでは通用しないからな」
阿黒さんも、私と同じような場面に巡り合っているから、腕力の無力さを知っているのだった。
続く