「お・おまえ!何だ!この圧力は・・・」
今度は稲荷が後ろへ飛びのいた。
私は稲荷の問いかけを無視して
「阿黒さん!このお嬢さんを早くそちらへ」
私の足もとに横たわる、ぐったりしたお嬢さんを指差し言った。
「おう そうじゃったそうじゃった!」
阿黒さんも歳とは言え、体が大きい人だったから、一人でも小柄な女の子を軽々と持ち上げて階段の入り口まで連れて行きそっと下した。
「さあ・・・どうします?お稲荷さん。大人しく帰ってください。あの子たちには私からよく言っておきますので・・・ここは何とかお引きください。」
「なんと・・・この私に引けと?大そうな自信だな・・・」
「いえ・・・自信などありません。ただ貴方が相手だから必死なだけです。」
「お前の自信はその額の輝きか?」
「確かに力が漲っています。でも・・・過去に1回だけ経験がありますが、後がぐったりして大変なんですよ。生身の人間ですからね・・・」
「ふふふ・・・余裕のある奴だな。」
「悪いのはこちらです。お稲荷様は被害者です。しかしここから先・・・貴方は敵になります。」
「脅しか?そんな虚仮(こけ)脅しなど・・・」
「貴方は優しくないお稲荷様みたいですね」
「井口さん!私も加勢するわ。」
突然 龍門小百合が苛立ち私の前に出た。
「駄目だ・・・龍門さん!」
龍門の妹だけある・・・興味を持ったら抑えられないようだった。
長い拍子木をクロスに持ち、彼女のありったけの気合いの籠った気を吐いた。
部屋の中にその声の分だけビリビリとした震動が伝わってきた。
しかし・・・稲荷は低く構えて尾を振ってそれに答えた。
「ビシッ!」
弾けた音とともに、龍門さんは後ろへ飛ばされた。
「おっとっと!危ないとこじゃったな」
後ろに控えていた阿黒さんがキャッチしてくれたので、それ以上飛ばされずに済んだようだ。
「なんなの・・・このパワーは・・・」
「大人しく見ているんじゃ・・・井口に任せてな。」
阿黒は龍門を支えながらそう言った。
龍門小百合は、こんな時兄さんなら力になれたかしらと、ふっと考えた。
続く