「えっ?お嬢さんはもう大丈夫ですから・・・帰っちゃ駄目ですか?」
嫌な予感がした・・・
私は早く帰りたかった・・・
この家の雰囲気は、私は苦手だった・・・
ある意味霊の方が良いくらいに・・・
「そうおっしゃらずに・・・ここまでして下さったのに、このまま帰しするわけにはいきません。宴席を用意させて頂いていますので・・・どうぞどうぞ・・・阿黒さんからも・・・」
一番はじめに私を迎えにきた 河野さんがしつこいくらいに喰い下がってきた。
「井口さん・・・仕方なかろう・・・送ってもらわねば帰れんだろう?」
阿黒さんがクスクス笑いながら言った。
「阿黒さん・・・ここはどこら辺りなんですか?」
「そうかそうか・・・拉致られて来たんじゃったな・・・・あははは」
阿黒さんは今度は豪快に笑った。
「私も御馳走になってもいいんですか?」
龍門小百合が、とんでもない事を言ってきた。KYだ・・・空気が読めていない・・・
さすが龍門の妹だけある・・・なと思った。
「もちろんです・・・龍門さんですよね?貴方の働きも感謝しています。どうぞどうぞ!」
龍門小百合ははしゃいでいた・・・
まだ経験が足りないな・・・泣
「分りました・・・少しですよ?す・こ・し!」
私は観念した・・・少しだけ御馳走になって逃げ出すつもりでいた。
しかし・・・・
「さあ・・・こちらです。」
河野さんに通されたのは、30畳程の広さの和室だった。
そこに置かれた長いテーブルには、所狭しと料理が並んでいた。
端っこに座ろうとした私を、両脇から2人の若い衆に抱えられた。
「井口先生はこちらこちら」
あの少女の祖父である、貫禄のあるお爺さんに手招きされた。
私も軽い方ではない・・・それがいとも簡単に抱えあげられ、お爺さんの横の席に下された。
「井口さん・・・お子ちゃまみたい」
龍門さんが笑いながら手を叩いて笑っていた。
かたなしである・・・・
いわゆる上座であろう・・・これでは抜け出せない・・・参った・・・
程無くビールを注がれて乾杯になった。
ここからが長い長い・・・私にとって苦痛の時間になろうとは思ってもみなかった。
続く