「兄は井口さんを、今でも相当意識しているようです・・・よく井口さんの話を聞かされます。でも今回は兄から急に電話があり・・・ちょうど阿黒さんから電話をもらった後だったんで・・・相当やばいのかなと・・・兄がよろしくと言っておりました。井口さんの前に再び顔を出せる自信をつけた時には・・・と言っておりました」
「そうか・・・龍門が僕を助けろと・・・あいつらしいな・・・・」
驚きとともに、何だか嬉しくなった。
「そうだよ・・・井口さん。あんたには不思議と同業者が引かれるんだな・・・俺達はもともとつるむのは嫌う人種であり、仕事なんだ・・・それなのに・・・な。不思議だよ。」
阿黒さんが神妙な顔でそう言った。
確かに私もそう思っている・・・・しかし
心強い援軍がいた・・・
河野さんが何か言いたそうな顔でこちらを見つめていた。
「河野さんたちは、私より腕力が強く、度胸も満点だから、怖くはなかったんじゃないですか?」
私は笑いながら言った。すると・・・・
「俺達は、刃物やチャカが通じる相手には強いかも知れませんが・・・あの手の相手には・・・・全くでした。しかしあの腕力・・・お嬢さんの筋力を超えた力でした・・・驚きです。」
私はその答えに対して、改めて血の気が引いて行くのを感じた。 恐ろしい・・・・
確かにみんなの腕や手には、噛み傷や引っ掻き傷、それに打撲痣が無い者は皆無だった。
「この度は本当にありがとうございました。何とお礼を申し上げていいのか・・・しかし実のところ、私は信じていませんでした・・・今日までは・・・これを目にするまでは・・・それ自体もお詫び申し上げます。」
お爺さんが改めて頭を深々と下げてきた。
隣で、着物姿の奥さんも同じように頭を下げてきた。
その時ドアを激しくスイングさせて厳つい男が入ってきた。
「おやっさん!!」
どうやらここの社長らしい・・・
「井口先生!阿黒の親父・・・お嬢さん(龍門さん)・・・ありがとうございました。本当に・・・・」
怖い・・・感じだ。威圧感がタップリ。
「いま例の神社の方に若い者を数人置いてきました。何かあれば連絡が入るように言い聞かせてきました。」
「ああ・・・お嬢さんのお友達たちの事ですね?」
「はあ・・・さすがに友達も同じようになっているとしたらやばいと思いまして。」
私は依頼外の事なので興味無かったのだが・・・確かにあの稲荷の言っていた、みなをこの神社に連れてきた詫びさせると言っていた事を思い出した・・・
「わしが手配してもらったんじゃ・・・」
阿黒さんが申し訳なさそうに頭を掻きながら言った。
続く