額から鮮血をまき散らしてのけぞる河野さん。
「だ・大丈夫ですか!!何しやがる!お前たち」
河野さんに集まり、二人の兄貴格の一人が2人の若者に向かってどなった。
悲しいかな、まだ状況がよく掴めていないようだ。
「待ってください。無駄ですよ、説得は」
私の発言に何かを初めて感じたのか、首を縮み込ませて、呻く河野さんを引きずるように後ろの安全な所に下がった。
「井口さん!あの二人・・・」
社長は2人を見ながら私に小声で話しかけてきた。
「そうです・・・お嬢さんと同じです」
「でも・・それじゃあ 娘の友達たちは救われたんですか?」
「はい・・・どうやらターゲット変更のようですから・・・それはそれで困りますがね・・・」
「そうですか・・・それは良かった。本当に良かった・・・うん・・・」
この社長は人の話を聞いていないようだ・・・こっちが今はやばいと言う現実を。呑気で幸せだ。
「阿黒さんどうしよう?」
「う・・・ん。いい考えが浮かばんな・・・わしにはTPOがないんじゃ」
「2人とも!ここは私にやらせて?」
そう言って龍門小百合が前へ出た。
その両手には、油揚げとお酒の小瓶が握られていた。
「龍門さん・・・そんなのじゃ・・・無理かと・・・」
私が遠慮がちに注意したが、勢いがついた彼女には聞こえなかったようだ。
先ほどは背中を断ち切られたので、何とか名誉挽回したかったのだろう。
続く