「ガツン」
砕けるお稲荷さんの石像
この時の私の行動には、むしろ仲間の方が驚いたようだった。
「な・何をするんだ!井口さん」
阿黒さんが叫んだ!
「余計に怒らせるだけなのに!」
龍門さんが叫んだ!
「なんてことをするんだ!井口さんも狂ったか?!」
額から流れる血をタオルでぬぐいながら河野さんがうめいた・・・
確かにこの時わたしのとった行動は、自殺行為のように感じただろう。
誰もが 2人の憑依された若者に攻撃を加えることと思っていたはずだ。
「何をする・・・きさま・・・この期に及んでまだ狼藉を働くか?きさま・・・きさま・・・」
憑依された一人が唸った・・・
「貴様は俺達より気が狂っている・・・恐怖で気でも違ったのか?」
足を砕かれた男が言った。
私はその二人を見ながら、柏木に巻かれていたお札を素早く外した。
そしてそのお札を砕いて残っている、お稲荷さんの石像の残骸部分に巻きつけた。
「!!!!! ゴフッ!・・・・お・のれ」
足の折れていない方の男が、急に硬直したように動けなくなった。
「みんな安心してくれ! 龍門さん このお札はどこにあった?」
私の質問と行動に呆気にとられながら
「そのお札は、あそこのお稲荷様の社の扉の下に落ちていたものよ・・・剝されて打ち捨てられていたみたいなの」
「よく見つけたね・・・どうやらお札を剝されてしまっていたから、自由に動けたみたいだな?」
「ばかな・・・俺達は祀られているのだぞ?疫病神のように封印なんかされるものか?愚か者よ!」
足を引きずりながら 少し近ずいてきた。
「はたしてそうかな?貴方達3体のお稲荷様は、力が強すぎた・・・」
私は語り始めた・・・誰に語るともなく
「力が強すぎたために、貴方たちは欲望も強かった。祀られて、災難からこの村の人たちを救ったはいいが、その後の要求がどんどん大きくなるにつれ、村人たちは貴方達の存在が邪魔になってきた・・・
そこで村人たちは話し合い、その当時 非常に徳の高い僧侶に依頼し、貴方を封印した・・・そのお札自体の力と言うより、その僧侶の力により、何かのきっかけがあるまでは、動けなかったはずだ・・・このお札は比較的新しい・・・封じる力も弱まってしまっている・・・遠い昔の封印だから・・・違いますか?」
「長々と・・・話おって・・・・くっ」
「だから私はこのお札に、私の念気を込めて石像に巻いてみた・・・その僧侶ほどの徳は無いが、思ったよりも効いたみたいだ」
私は茫然としているみんなに向かって、親指を立てたこぶしを、突き出して笑った。
これで片足が不自由な狐と、身動きできないでもがいている狐が目の前に居る。
さあ・・・どう出てくる?
続く