石像の残骸に巻かれた、お札を剝す・・・
「うっ・・・・と、動けるようになった。御苦労・・・ふふふ・・・」
不気味な笑い方をしながら
こちらに向かって歩いてきた。
私の大きな賭けが、どう出るかは分からなかった・・・
「井口さん。」
「私も・・・。」
阿黒さんと龍門さんが 私のもとに駆け寄ってきた。
「本当にいいの?」
龍門小百合が聞いてきた。
「分らない・・・・賭けだ。」
私は目を離さずに答えた。
「何と?か・賭け?おいおい・・・」
阿黒さんが驚きながら聞いてきた。
男の影がぼやけた・・・
他の2体の時と同じだ・・・姿を現すのだろうか?
ドサッ!
男の姿が崩れた・・・その後ろに またも真っ白な妖孤が現れた。
尾は・・・4本・・・
緊張の対峙が続いた・・・
「一つ聞く・・・」
妖孤が聞いてきた。
「何ですか?」
「悪いのはどちらだ?」
「はい・・・人間です。3人の若者です」
「俺達は怒り・・・悲しんだ・・・そのような無礼な行いをする奴らがいる事に」
「私でも怒ります。」
「お前はそ奴らをどうする?」
「はい・・・もしこのまま許していただけるなら、この石像を建立しなおして、その3人の若者に、罪を償わせます。」
「罪を償うとな?いかようにして・・・」
「甘いとおっしゃられるかも知れませんが、今の世の中では命を差し出させる事はできません・・・だから・・」
「我らもそこまでは求めん・・・この石像を建立し直すならば・・・なっ!」
「はい!それは約束いたします。」
私がそう言った途端に、私の横に走り寄る人間がいた。
社長だった・・・女子高校生の父であり、肝の据わった職業の人物であった。
「社長・・・・」
「お稲荷様!お許しください・・・その3人の中の一人は、うちの娘です。まさかこんなひでえ事をするとは思いもしませんでした・・・ですから 私が必ずこの石像を建立し直させて頂きます。
そして 娘たち3人には、この神社の掃除を、出来うる限りやらせる事をお約束します・・・それだけじゃなく・・・この神社の寄付頭に、私がならさせて頂きます。どうか・・・どうかそれでお怒りをお鎮めください・・・お願いします」
社長は土下座までして約束した。
その時・・・また孤地の時のような、ブーンと唸るような音が聞こえた・・・・
まずい!カマイタチか?
しかし その音が途中でプッツリと途絶えた・・・
「必ず・・・・必ずその約定・・・守れよ」
4本尾の狐が答えた・・・
「はい・・・命に代えて!」
社長が断言した。
「お前・・・我らが仲間を 社の前にそれらの物を置き、札を剝せ・・・さすれば我らは引く・・・その条件でよいか?」
「それを信じていいのですか?」
「お前のその右手に握られた物が恐ろしいでな?いつでも投げられるように・・・しておっただろう・・・その気迫が我の動きを封じた・・・約束は守る。」
「は・・・い。ふーっ。ごめんなさい。」
私は一気に気が抜けた・・・
続く