私はその場にしゃがみ込んでしまった。
「我々もその約束 しかと守らせます。誓っても・・・・」
阿黒さんが代わりに答えた。
「ああ・・・もう夜も明ける・・・久しぶりの今世で、疲れてしまったわ・・・さあ 頼むぞ・・・あの社の前に。」
「分りました。龍門さんはあの頭を持ってください。阿黒さんはこの数珠を・・・」
それぞれ指示を出し、薄れかける孤宮に向かってお辞儀をした。
薄れかかる狐の顔が、気のせいか柔らかくなり、少し笑顔に見えたのは私の気のせいだったのでしょうか・・・
それから一同は社に向かい、頭と数珠を並べてそれぞれの「封」を解いた。
すると・・・一度2匹の狐の形をとったと思ったら、すぐに消えた・・・
社の中に吸い込まれるように。
「終わった・・・・かな?」
私はすっかり疲れ切った顔で言った。
「ああ・・・これで・・・もう」
阿黒さんも社の中の薄暗い奥を見ながらそう言った。
「私たちの無知が招いた事なのね・・・」
龍門さんがしみじみとそう言った。
「ああ・・・本当に。だんだん世の中が変わり、こういう話を馬鹿な作り話だと思う 若者たちが増えて行く・・・全国でも起きて不思議のない話だったんだろうな」
「その時はその時さ・・・そうしたら井口さんのような人間が、各地で活躍する事だろう。」
阿黒さんが私の肩を軽く叩きながらそう言った。
その瞬間・・・あたりの闇は消え始めた。
どうやら夜が明けるようだ・・・長い一日が終わった。
「あっ!忘れていました。河野さん!送って行ってくださいね!」
私は現実に戻ってそう叫んでいた。
その一言で、そこに居たみんなが笑いに包まれた・・・
もちろんその後すぐに 社長は約束を守り、お稲荷様の石像を対で献上した。そして3人の若者に、境内の清掃をさせ続けた。
見張りの役目を兼ねて、河野さんが一緒に掃除をしたらしいから確かだろう・・・
本当に長かった・・・本当に。