電話を切った後 私は少し興奮気味だった。
電話の相手には出来るだけ平静を装っていたから分からなかっただろうが、実は私は彼女のファンだったのである。
その・・・昔 手の届かなかった相手からの依頼・・・
それも「なかなかお会いしてもらえない方とお聞きしています。」などと言われて、嬉しくない訳がなかった。
一人興奮状態が、しばらく続いたのは言うまでもない。
そして後日、指定された日に麹町のマンションに私は向かった。
今日 ご主人もいらっしゃるとの事を聞いていたので、安心してお伺い出来た。
少し緊張する・・・
オートロックなので、部屋番号を押した。
間違っていたらどうしようと考えながら待った。
「はい・・・」
インターホンの中からは、まぎれもなく彼女の特徴的な声が返ってきた。
「あの・・・井口と申しますが・・・」
少し固くなって答えた。
「あっ!いらっしゃいませ。今 ドアを開けますから。どうぞエレベーターでいらして下さい。」
ドアが開いた。
さすが 彼女たちが住むマンションだけはある。
警備員がオートロックのドアの中に立っている。
軽くお辞儀をして通り過ぎて行く。
彼らも軽くお辞儀をしてきた。
おそらくインターホンでの会話も聞いているのだろう。
チェックが厳しいのだろう。
普通のマンションのように、管理人のおじさんではないので、驚いたのも事実だ。
エレベータの乗りこむ。
部屋ある階を押す。
「11階か・・・」
*今現在は 別の場所に引っ越したので、心配なく書けるのです。
11階にエレベーターが到着した。
ホールに出た私は、部屋番号を探した。
何かホテルのような造りだ。
すると、きょろきょろしている私に声がかかった。
「先生・・・こちらです。」
振り返った私の目に飛び込んで来たのは、紛れもなくブラウン管の中で見かける彼女であった。
続く