一軒の家の前で車は止まった。
降りた私はその家を見上げた・・・そしてその前に立つ前の家も・・・
「何だ・・・ここは・・・」
それが私の率直な感想だった・・・
この湿る気を含む空気・・・
湿気が多いと言うレベルではない・・・
乙部家の道を挟んだ前に建つ家も・・・
重苦しい暗さをたたえた瘴気に包まれている。
「井口さん どうぞ・・・お待ちしていました。」
家の中からお母さんが出迎えてくれた。
私は促されるままに家に足を踏み入れた。
リビングに通された。
そこにはお父さんと妹さんも待っていた。
「はじめまして・・・井口です。」
私はお父さんの視線を感じながら簡単に自己紹介をした。
「娘から話は聞きました。今日はよろしくお願いします。」
お母さんから改めてお願いされた。
「はい・・・そのつもり出来ました。」
少し談笑をした後、私は本題に入った。
「家の中を一回りさせて頂けませんか?」
いよいよと言う緊張がみんなに走った。
「はい。お願いします。」
乙部さんとおかあさんを先頭に、お風呂場を覗いた。
やはり先日飲み会時に、乙部さんに男が立っていた場所の風景と一致する。
「乙部さん・・・ここに居た筈だよ。例の男が・・・」
「はい。あの日玄関から入ったら、見ないようにしていましたが、誰か居たように感じました。」
私はそこから玄関を見た。
確かにまっすぐの位置だ・・・これはやばい場所だな・・・と思った。
お風呂場は・・・OK
トイレは・・・OK
台所は・・・OK・・・・おかしい・・・
静かすぎる。
「2Fへ上がってみましょう。」
「はい。」
2Fには、お嬢さん二人の部屋がそれぞれと、ご両親の寝ている和室が並んでいた。
続く