私が振り返ったその視線の先には・・・
そこは河野文子の魂の裏側・・・
奥にしまいこんだ嫌な記憶の真うらだった。
そうか・・・2人の接点・・・嫌な記憶、恐ろしい記憶だけがちゃんと残っている。
そして繋がっている。
だから彼女は2人の記憶を持っているから、姿形は変わって、第二の人生を歩んでも、兵太くんの事が気がかりだし、覚えていたのだ・・・
たとえれば・・・瓢箪(ひょうたん)のような形をしている感じだ。
上部が河野文子の魂、下部がお良ちゃんの魂・・・そしてその中間は細い紐のようなもので繋がれているのだ。
「これを切れば・・・2人の記憶が・・・魂が分離される。よし・・・切り離すぞ」
その時だった・・・
「や・めて・・・それ・・も、あた・・・しなの・・だか・・ら・・きず・・つけな・・い・で」
「君は河野文子さんか?」
「そ・・う・・も・う おねえさ・・ん・・のところに・・は・でない・か・ら・・ゆ・るし・・て」
「君をいじめるつもりはないんだよ・・君はお良ちゃんでもあるのか?」
「そう・・・お良よ。おじちゃんの気持ちは分かっているわ・・・迷わないで、お願い」
まるで魂の中での多重人格のような現象を起こしているのだろう。
「分ってる・・・お良ちゃんありがとう」
自分のしようとしている事が、正しいのか間違っているのか分らなくなってきていた事を、お良ちゃんには見透かされていたようだ。
「あ・な・・た・・なに・を・いうの・・・おりょう・・ふた・・りで・・ひとり・・のは・・ず・よ・・」
「河野文子さん・・・君の言う通りだ、今までは二人で一人だった・・・あの男に対する恐怖が、二人を作り上げたのだから・・でも もうその男もいない。そろそろ本当に一つにならなきゃ、ずっと兵太クンに会えないんだよ?」
「あ・た・・し・は ひょうたな・・んか ど・うでもい・・い。も・ういち・・どうま・・れか・・わりた・・い・だけ」
「何だって?今までは違った事を思っていたんじゃないのか?」
「それ・・は・ちが・・う。あ・たしは・・おり・・ょうの・た・・めに・・・そ・ういっ・・てきた・・だけ・・ほ・・んと・・・うは・も・う・・どうで・・も・い・いの・・・あ・た・・し・をた・・すけ・・て・・おじ・ちゃ・・ん」
「本心か?でももう生まれ変わる事は不可能だ・・・君は人の心を失っている。お良ちゃんなんだよ・・君は。兵太クンのお姉さんなんだよ?忘れてしまったのか?」
「おじさん・・・もう良いよ・・・この子の言う事は聞かないで・・・兵太の為だけにいままでここに居たの私たち・・・だから迷わないで!」
お良ちゃんの意思ははっきりしていた。
決断の時なのか・・いまが。
続く