集約していく気・・・お良ちゃんの中に。
「神よ!河野文子、お良・・・この二つの長きに亘る迷える2つの魂を、今日一つに戻し、兵太くんとも交える時の中に・・・すべてを戻したまえ・・・」
分れていた2つの魂が、私の目の前で完全に融合した。
「さあ・・・兵太クン。出て来てごらん。もう大丈夫だよ・・・・」
その呼びかけに、ベッド横で小さくうずくまって待っていた兵太クンが見えた。
「立ち上がってきてごらん・・・君の探していたお良姉ちゃんだよ。」
立ち上がりながら兵太クンは見た。
またそちらにお良ちゃんも振り向く。
「兵太・・・・兵太なのね?」
「姉ちゃん・・・本当だ!姉ちゃんだ!」
二人は抱き合った。
普通は成仏への道への妨げになるために、霊同志のセッションは行われないのだが、今回は成仏させるためだから、お許しいただけたと思う。
「どうかな?間違いないだろう?」
「うん。信じていて良かった おじちゃんを・・・・」
兵太クンの眼が輝いていた・・・そしてそれまでボロを纏っていた洋服が、綺麗に変わっていく・・・お良ちゃんの着物も薄汚れていたはずが、今は奇麗な色の着物に変わっていた。
彼女たちには本来肉体は無い・・・ボディスーツの残留思念だけで表現されているものだから、死ぬ事を承知した段階で、いい時に戻って行く事はよくあるのだ。
肉体的欠損部でさえ・・・
「井口おじちゃん・・・ありがとう。これで思い残す事はないわ。兵太と一緒に・・・」
「そうか・・・私も・・嬉しい。さあ・・・旅立とう。本来行くべき世界へ」
「ここの家の人たちには迷惑を掛けちゃいました・・・許して下さい。それだけは伝えてください。」
お良が言った。
「僕からもごめんなさいと・・・伝えてください。」
兵太がペコリと頭を下げながら言った。
「うん・・・しっかり伝えるよ。それじゃあ・・・準備はいいかい?」
「はい!」二人同時に答えた。
私は二人にあてた手を、徐々に手のひらを上に向け、上げて行った。
上から2人を迎えるように光のカーテンが降りてきた・・・そして2人を包みこんで消えた。
「ふう・・・・行った・・・・2人とも誤っていましたよ、皆さんに。」
「はい・・・良かった。なんだかこの部屋 明るくなった気がします。」
乙部友子さんがそう言った。
「寒くなくなったわ」
お母さんがそう言った。
「藻の匂いやなくなった・・・臭いにおいも・・・」
お父さんが言った。
「ぜんぜん空気が変わった気がするよ」
妹の乙部真子さんが言った。
「時間がかかってしまったね・・・疲れた・・・」私はその場にしゃがみ込みたい衝動を覚えた・・・しかしもう一我慢した。
「さあ・・・下に降りよう・・・」
あの二人は、昇りながら私にこう言っていた。
「こんど生まれ変わったら、井口さんの近くに生まれたい・・・そしてお礼を・・・お役にたちたいと思います・・・お元気で・・・」と
下の階に降りる前に、私は部屋を振り返り
「楽しみにしているよ」と笑いながら言った。
完