それは相手が悪霊ではなく、心ある魂だろうからです。
15分ほどで近藤さんのお宅に到着した。
玄関に入ると、お線香の香りがプーンと漂ってきた。
この重い空気・・・その原因ははたして・・・
この家の、この重たく暗い気は、霊の出しているものではない。
これは人の出している気だった。
奥さんの思いの気だろう・・・
私は無意識にご主人を見た。
ご主人は無言でうなずいた・・・おそらく私の質問が分かったのだろう。
リビングに通された私は、隣の和室をすぐに見てしまった。
そこが気の元になっている・・・
これは私でなくとも、素人の方でも嫌と言うほど分ってしまう事だろう。
しかし・・・私の仕事はそれを言い当てに来た訳ではないのだ・・・
「井口さんはもう分っていらっしゃるんですよね?」
ご主人がこう切り出した。
「ええ・・・ですから遠慮なくお話し下さい。依頼の内容も含めてね。」
「先生・・・お昼食べましたか?私 サンドイッチを作りましたので、食べませんか?」
奥さんが出来るだけ明るくふるまっているのが痛々しい感じがした。
「頂きますよ・・・立ち食いソバだけ食べてきましたが、まだまだ入りますから」
「先生が立ち食いソバを?本当ですか?」
どうも奥さんは、私が普段相当なぜいたくをしているように考えているらしい・・・
それは大きな間違いだ・・・ハンバーガーも食べに入るし、ドトールみたいなコーヒー屋さんも好きですし。
「普通の人間ですからね・・・同じですよ。TVで取り上げられるような先生とは違いますから・・・それにサラリーマンでしたからね。」
その私の説明を聞いていて、奥さんがはじめて笑った・・・物凄く熱心に説明する私が可笑しかったらしい。
理由はともかく、笑ってもらえたので良かった。リラックスさせなきゃいけないから
続く