「さあ・・・楽になったでしょう?急激に感情の起伏を起こさせてしまいましてすみませんでした。」
「いいえ・・・大樹が・・・大樹が怒って無かった事が聞けただけで・・・・幸せです。謝る事なんてありません。」
奥さんが隣の部屋を見たままの状態でそう言ってくれた。
隣でご主人も大きくうなずいている。
「でも・・・これからですよ。大樹君からのメッセージを伝えるのは・・・これからは緩やかにお伝えしますから。」
「大樹からのメッセージ?そんな事まで教えて下さるんですか?」
奥さんはバッ!というくらいのスピードでこちらを見た。
その顔は、生き生きしていた。
先程までの、どんより澱んだまなざしとは別人のような強い意志の宿った瞳をしていた。焦点がガッチリあっている。
「私・・・何で昨日まであんなに・・・気力もわかないし無感情・無関心になってしまっていたか・・・分る気がしています。
まずは大樹が私たちを怒っていないか、それから大樹はどうなるのか?成仏出来るのだろうか?そして・・・大樹って言う名前を、私たちが付けなければ、あの子の運命は変わっていたのではないか・・・色々・・・物凄く考えていました。でも・・・それって考えても考えても答えが出てくるわけがないのに・・・それが分かっていても考えてしまうから・・・心が疲れてしまう・・・そんな感じだったんです。でも・・・今こうして井口先生にお聞きして、その得る事の出来なかった答えに行き当たった・・・そう思っただけで・・・何だろう・・・うまく言えませんが・・・心に詰まっていた壁が、綺麗に取り除かれた気がするんです。怒っていない・・・それだけでも嬉しいのに・・・」
近藤澄子さんは一気にしゃべった。
隣で聞いていたご主人の近藤富雄さんもびっくりするくらいの勢いで・・・
「奥さん・・・その不安を・・・全部埋めましょう。それが奥さんのためだし・・・大樹君の為です。
私も力強くそう言った。
続く