改めて私は大樹君の魂に向きあった。
そこには見た目は裸の赤ちゃんの姿をした大樹君が、はいはいの状態で私を見上げている。
「ママもパパも、もう僕を心配しないでね。平気だから・・・今回は僕は生まれない方が良かったんだと思う。だからもう一度、ママとパパの一番良い時に生まれてくるから、その時は、可愛がってね・・・お願い、約束だよ。」
私はそんな大樹君の、本当に最後の言葉を伝えた。
「うん・・・約束するよ。また会おうな、大樹!」
お父さんが力強く言った。
「うん・・・その時までママは、強くって明るい性格のママになっているわ!約束するからね・・・大樹ちゃん。」
奥さんの顔からは、精神的な弱さが微塵も感じられないようだった。
「じゃあ・・・大樹君。お別れだ・・・」
「おじちゃん・・・ありがとう。おじちゃんに来てもらえてよかった。ぼくの為じゃなく、ママの為にも・・・本当にありがとう。じゃあね。」
私は大樹君に向かって、浄化の印を結んだ。
大樹君の目の前に、なだらかな上へ昇る坂道が現れた・・・
光の路と言う感じだ・・・
緩やかな・・・それでいて真っすぐに上につながった光の路。
その坂を大樹君は、可愛い歩みを繰り返していく・・・はいはいをしながら、時折振り返り、ニッコリほほ笑む顔が印象的であった。
次第にその昇りゆく姿の画像は、小さくなっていく。
画面がフェードアウトしていく感じと言えば、お分かりになるだろう。
「近藤さん・・・大樹君は、ニコニコしながらあの世の路を昇って行きましたよ。ご安心を・・・・・」
「井口先生・・・本当にありがとうございました。こう言う事って、分るのと分らないとでは、残された者たちにとっては、恐ろしいくらいに違いがあります。それを・・・この度は痛感させられました。」
奥さんは、はじめの頃と、別人のような冷静な顔をしていた。
さあ・・・これからは、このご夫婦に、アフターフォローのお仕事だけだ。
続く