「ハイ・・・ドナタデスカー?」
マイケルには、多少余裕が出て来たようだった。
「ふざけた会話は必要ない・・・井口さんを出してくれないか?」
マイケルは私の顔を見た。私はマイケルの携帯電話を受け取った。
「そろそろ掛かって来る頃だと思っていたよ、明日香君。」
「もう少しお礼の電話を入れたかったんですが、少し右腕を痛めましてね・・・これがなかなか痛かったもんで・・・なにしろ自分の呪術を自分に掛ける事になる経験などなかったので・・・」
「本当に腕だけかな?まで負け惜しみが言えるほど、元気なんだな?大したものだ・・・・・」
「やはり・・・この右足の分は貴方の呪術なんですね?確かに色が違った気でしたから・・・ね。貴方に呪術の経験がおありだとは知りませんでした。どうです?私と組みませんか?どちらかと言うと、そちら側より私に近いように感じるのですが・・・・」
明日香は最大級の我慢をして電話をしてきているのだろう。手足のダメージを隠しながら。
「次は足では済まないよ・・・ど真ん中をズドーン・・・だよ。ただし・・・私は君ほどではないので、自分からは掛けられない、撥ね返すだけだから、明日香君が手を引けば問題なしのはずだ。どうする?」
「井口さんは駆け引きも話術も達者な方だ・・・恐れ入ります。」
「俺は営業マンだからな・・・」(この頃はまだサラリーマンを続けていた。)
「虫が良すぎるかも知れませんが・・・交換条件は駄目ですか?」
「どんな交換条件かな?」
「私もこの仕事で食べていかなければいけません。まだ信用を失う訳にはいかないのです。そこで貴方のクライアントの元山さんにお願いしていただきたいのです・・・私のクライアントとの財産話・・・多少の譲歩をお願いしたいのです・・・今回の件から手を引く事の交換条件で。」
「なんか・・・君の方が得をしていないか?」
「もちろん・・・私のクライアントには、元山さんには物凄いシャーマンがついているので、最小限の条件で飲んだ方がいいですと、伝えます。」
「最小限の条件で?財産話をか?」私は元山さんの顔を見た。元山さんは頷いていた。
「それから・・・」
「それから?なんだ・・・」
「あの・・・言いにくい事なのですが、今回は相討ちと言う事にしていただけませんか?プライドの問題と、商売の問題がありますので・・・・」
「君の商売など・・・俺には関係ないが・・・・」
「そうおっしゃると思っていました・・・どうやら貴方は私の一番苦手なタイプのようだ・・・明るく、力強く、エネルギッシュで、正義感が強くて・・・・・・・・」
「分った分った・・・歯が浮くような事をそれ以上言うな。必ず手を引くな!もし嘘をついたら・・・・」
続く