最終回
明日香からの電話は切れた・・・
「元山さん・・・これで問題なく財産の問題は解決するでしょう・・・あの男も自分のやっている事の怖さを、今は感じていると思いますから。
約束は守る筈です・・・今の電話はその為のものでしょうから」
私は穏やかな顔でクライアントの元山さんに言った。
「そうですね・・・私も感じました。急に送られてきていた邪悪な真っ黒な気が、フッ・・・と言う感じで消えた感触を・・・本当に一瞬でしたから・・・驚きましたよ・・・」
ブライアン・ダガ―牧師が言った。
「ワタシモ・・・デモ コワカッタネ・・・」そう言ってマイケル・ミラーは、自分の携帯電話を両手に持って、一気にへし折った。
「ワタシ・・・カイヤクシテ・・・アタラシクナンバースルネ・・・」
マイケルの行動に驚く一同を見て、私と龍門は笑って答えた。相当怖かったのだろう・・・そして自分の携帯番号が、明日香に知られていることへの恐怖が拭えなかったのだとしても仕方のない事だ。
「ありがとうございました・・・本当に。井口さん・・・龍門さん・・・ブライアンさん・・・みなさんも・・・本当にありがとうございます。」
元山さんが涙を流しながら言った。
「我々のプライドが勝ちました・・・良かったですね。」
龍門はまだプライドに拘っていた・・・相当効いたのだろう・・・明日香に無視されていたことが・・・
「我々か・・・これが一人だったらヤバかったな・・・今になって俺の右手が冷たくこわばって来たよ・・・痛い。」
「本当ですか?」そう言って龍門が私の手に触ってこようとした時に、横から握って来た手があった。
「ワタシガナオスネ!オレイト、オワビネ・・・ヤラセテクダサイ」
マイケルだった・・・・私の右手を持って気を注ぎこんでくる。
そして最後に十字を切った・・・
「ドウデスカ?キキマシタカ?」
「おお〜治ったぞ!!右手が元気になったよ、マイケル。」私はそう言って何度も右手をグーパーにして見せた。
まだ少し痛むが、マイケルの気持ちが嬉しかったから、それは我慢した。
「井口さんは・・・相変わらず変わらないようですね。普段はそうやって明るく面白く・・・優しい人のままだ。マイケル・・・良かったな。役に立ったぞ。」
そう龍門の言葉を聞いて、嬉しそうにマイケルは笑った。みんな笑った・・・
そして後日・・・元山さんから、無事に遺産相続の話し合いが終わった事の連絡があった・・・無事に終わったのだ・・・明日香との事も・・・
完