「寂しいから来ちゃった・・・・」とだけ書かれていた。
はっとして男はドアの方を見た・・・しかしまさか・・・
この女は悪戯をしているだけだろうし、ここの場所なんか解りっこない。
俺もこんな女知らないし・・・・名前は?そう言えばこの女の名前は何と言うのだっけ・・・そう思いメールの末尾をみた。そこには・・・・
「雪江」と書かれていた・・・男はやはり知らないと確信して、携帯を閉じた。
その時だった・・・ドアのチャイムが鳴ったのは!
「ピンポーン。ピンポーン・・・・・・」
こんな時間に?誰だよ・・・まさか?
男はドアを見たまま凍りついた。それをあざ笑うかのように今度は携帯電話が震えた。
ドアの方を見ながらそっと携帯を開いた男の目に飛び込んで来たメールには、一言だけこう書かれていた・・・・・・
「来ちゃった・・・だから開けて・・・・雪江」と・・・・
それと同時にドアノブをガチャガチャと回す音が続いた。
男は思わず自分の携帯をへし折ってしまった・・・後の事など考えられない程の恐怖に襲われて・・・
ほっとした男を、最後の恐怖が押し寄せた。
壊してしまった携帯の、モニター部分が光って・・・・
「あれ?繋がらなくなっちゃった・・・・また・・・あたし振られちゃったんだな・・・・死んでやるから・・・さようなら」と・・・・一方的なメールで終わっていた。
その日その男は一睡もせず、自分の壊れた携帯を見降ろしていたが、それ以降携帯は鳴らなかった。
当たり前の話だ・・・真っ二つに折れてしまった携帯なのだから、鳴ること自体がおかしいのだが、昨夜の恐怖がその常識的な判断を失わせていたのだろう・・・・・
後日談だが、その男が帰って来る途中の少し大きめな公園の公衆トイレで、若い女の首つり自殺体が発見されてたらしい。
残されていた遺書には、失恋の恨みつらみが書かれていたらしいのです。
男は考えた・・・その自殺した女の子の名前は・・・きっと雪江だったんじゃないかと・・・
その数日後に男は引っ越して行ったそうです。
完(小さな都市伝説)